2021年11月09日
投資用不動産の住宅ローン利用がNGな理由は?自分で住むのはOK?
投資用の不動産を購入予定の人の中には、金利が低い住宅ローンを利用したいと考える人もいるでしょう。
しかし、投資目的で不動産を購入する際、住宅ローンを借り入れることはできません。
金融機関の許可を得ずに住宅ローンを利用した場合、契約違反で一括返済を求められる場合があるため注意が必要です。
また、将来的に、投資用の不動産に自分で住むことを計画している人もいるでしょう。
投資用の不動産に自分で住むことは可能ですが、いくつかの注意点があります。
トラブルを避けるために、どのような点に注意するべきか確認しておきましょう。
今回は、投資用不動産の住宅ローン利用や自分で住む場合の注意点などを解説します。
目次
投資用不動産の住宅ローン利用はNG
冒頭でも解説した通り、投資用の不動産を対象に住宅ローンを組むことはできません。
なぜかと言うと、不動産投資ローンと住宅ローンでは目的や条件が異なるためです。
金融機関に事実を伝えず、投資用不動産に住宅ローンを利用すると、金融機関との契約違反で一括返済を求められる場合があるため注意が必要です。
それでは、不動産投資ローンと住宅ローンにはどのような違いがあるのか解説しましょう。
不動産投資ローンと住宅ローンの違い
不動産投資ローンとは、第三者に賃貸するなど投資を目的とした不動産を購入する際に利用するローン、住宅ローンとは、自分が住むための不動産を購入する際に利用できるローンです。
以下の表は、不動産投資ローンと住宅ローンの特徴を比較したものです。
不動産投資ローン | 住宅ローン | |
返済原資 | 家賃収入 | 給与収入 |
金利 | 1.8~4.3% | 0.375%~2.0% |
審査 | 不動産の収益性 契約者の属性 |
契約者の属性 |
自分で住むための住宅は生活に必要不可欠なため、住宅ローンの金利水準は一般的な融資と比べて低く設定されています。
審査基準も、収入や職業、年齢など契約者個人の属性が重視される傾向です。
一方、不動産投資ローンは不動産賃貸業という「事業」に対して融資を受けます。返済原資は家賃収入となるため、対象の不動産の収益性が重視される傾向です。
このように、目的、金利の高さ、審査基準などが異なるため、投資目的の不動産の購入費用に住宅ローンを利用することはできません。
以下の記事では、不動産投資ローンと住宅ローンの違いについて詳しく解説しているので、こちらも併せてご覧ください。
住宅ローンの不正利用リスク
「金融機関にだまっていればバレないのでは?」と考える人もいるでしょう。
しかし、金融庁をはじめ、各金融機関では融資の不正を見極めるための調査を強化していることもあり、不正がバレるリスクは一昔前よりも高くなっているでしょう。
不正に対する調査が強化されている理由は「スルガ銀行不正融資問題(2018年)」「フラット35での住宅ローン不正利用(2019年)」など、不動産投資に関連する融資問題が複数起きているためです。
嘘をついて融資を受けた場合、金融機関との契約違反となり、残債の一括返済を求められたり、金融機関との関係悪化で困った時に相談に乗ってもらえなくなったりする場合があるでしょう。
投資用不動産に自分で住むのはOK?リスクや注意点は?
投資用に不動産を購入し、万が一賃貸経営が上手くいかなかった場合、自分で住むことを検討している人もいると思います。
不動産投資ローンを利用せずに不動産を購入する人、自己資金に余裕がある人、自分で住むタイミングが不動産投資ローン完済後の人は問題ないでしょう。
しかし、以下のようなケースは注意が必要です。
- 経営が上手くいかずに切羽詰まっている
- 自己資金がほとんどない
- すぐに引っ越したい
ここでは、投資用不動産に自分で住む際のリスクや注意点を解説します。
契約違反になる場合がある
不動産投資ローンの残債があるタイミングで投資用不動産に自分で住む場合、金融機関との契約違反になる場合があります。
前章では、不動産投資ローンを借り入れる際、家賃収入を返済原資として融資審査すると解説しました。
自分で住むということは、返済原資である家賃収入を得られなくなるということですから、審査時の条件と異なります。
不動産投資ローン完済前に使途変更すると、金融機関との契約違反に該当する場合があるため、自分で住む前に金融機関に相談しておきましょう。
住宅ローンへの借り換えは難しい
不動産投資ローンの返済途中で金融機関から使途変更の許可を得られると、不動産投資ローンから住宅ローンへの借り換えができる場合があります。
ただし、不動産投資ローンから金利の低い住宅ローンへの借り換えは、簡単ではありません。
借り換えできない場合、住宅ローンの水準よりも高い金利で不動産投資ローンを返済し続けるため、契約者にとってデメリットが大きいでしょう。
自己資金に余裕がある場合は問題ありませんが、自己資金が充分でない場合、返済が滞るリスクがあるため注意が必要です。
自分のタイミングで住むことは難しい
投資用不動産に自分で住みたいと思っても、そのタイミングで入居者がいる場合、自分が住みたいから入居者に退去してもらうという訳にはいきません。
賃貸借契約に関連する法律である「借地借家法」は、もともと借主を守るために作られたものなので、借主優位の内容となっています。
基本的には、現入居者の退去を待つ必要があることを頭に入れておきましょう。
節税効果を受けられなくなる
賃貸経営では、経費計上することで大きな節税効果を得られる可能性があります。
特に減価償却費は実際に発生していなくても経費計上できる費用のため、代表的な節税対策の一つです。
減価償却とは、年々減少していく建物の価値を一定の年数で分割して必要経費として処理することです。
木造の中古アパートなど耐用年数が短い場合、1年分の減価償却費が大きくなり、大きな節税効果を得られる仕組みとなっています。
投資用の不動産に自分で住む場合、使途が事業用でなくなるため減価償却費として経費計上できなくなります。
税金の負担が増える場合があるため注意が必要です。
疑問を解決!【投資用不動産購入時のQ&A】
将来的に、投資用の不動産に自分で住みたいと考える人の中には、「不動産投資で収益を得られるか不安」という人もいるでしょう。
そのような不安を解消するために、投資用不動産を購入する際に生じる以下の疑問を解決します。
- 物件の種類はどれにするべき?
- どの地域で物件を購入するべき?
ここでは不動産の選び方に焦点を充てて解説しますが、不動産投資の始め方、不動産会社・セミナーの選び方など、その他の疑問に関しては以下の記事で解説しているので、興味がある人はご覧ください。
Q 物件の種類はどれにするべき?
A 適切な物件の種類は、個人の目的、投資スタイル、資産背景など個別の事情によって異なります。
適切な種類を選ぶためには、それぞれのメリット・デメリットを知っておくことが大切です。
投資用の不動産と言っても、物件の種類によって一棟・区分・戸建てがあり、築年数によって新築・中古があります。
それぞれの主な特徴を以下の表にまとめたので、参考にしてみてくださいね。
区分所有(ワンルームマンション)・一棟・戸建ての特徴
区分所有 |
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一棟 |
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戸建て |
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新築・中古の特徴
新築 |
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中古 |
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上記のように、物件によってメリット・デメリットが異なります。実際に購入する前に、それぞれの違いについて理解を深めておくことをおすすめします。
また、不動産投資が初めての場合、不動産会社に相談しながら進めるのも選択肢の一つです。
区分所有、一棟、戸建てのメリット・デメリットは以下の記事で詳しく解説しているので、興味がある人はご覧ください。
以下の記事では、ワンルームマンションのリスク、オーナーチェンジ物件について解説しているので、こちらもおすすめです。
Q どの地域で物件を購入するべき?
A 投資用の不動産を購入する際は、人口減少が生じにくい地域を選びましょう。また、物件がある地域の利便性、周辺環境も大切です。
賃貸経営は、家賃収入を得ることで成り立ります。安定して家賃収入を得るためには、賃貸需要がある地域に物件を購入することがポイントです。
人口の推移は、政府や不動産ポータルサイトが公開しているので、チェックしてみてくださいね。
また、人口が多い地域でも、物件の立地条件によっては入居者が集まりにくいケースがあります。
以下のチェック項目を参考に、入居者の立場で住みやすさに問題ないか現地調査することも大切です。
- 最寄り駅、バス停からの距離
- 近隣の生活施設(例:スーパーマーケット、薬局、コンビニ)
- 近隣の公共施設(例:病院、図書館、市役所、学校)
- 近隣の嫌悪施設の有無(例:工場、繁華街、墓地)
- 治安(昼だけでなく夕方以降も要確認)
以下の記事では、物件の資料請求から契約段階まで、さらに細かい物件の探し方を解説しているので、併せてチェックしてみてください。
まとめ
今回の内容をまとめると、ポイントは以下4つです。
- 投資用不動産の住宅ローン利用はNG
- 投資用不動産に自分で住むことは可能
※ただし、残債がある、自己資金に余裕がない、急いでいる場合は注意。
- 購入するべき投資用不動産の種類は、目的や投資スタイルによって異なる
- 投資用不動産を購入する際は、賃貸需要がある地域を選ぶ
不動産投資が初めての場合、多くの不安があると思います。当社では、投資家の方が失敗しないために、いつでも個別相談を受け付けているので、お気軽にお問い合わせください。