2022年06月17日
長期のアパート経営で成功を左右する「お金」に関する2つのリスク
「アパート経営は危険・失敗する・リスクが高い」と躊躇している方
確かにアパート経営はリスクもあり、損失を出してしまう人がいるのは事実です。
しかし、リスクはどの投資を始めたとしても避けられないものです。
大切なことは、自分で不動産投資に関する知識を身につけて、幅広いリスクに備えることです。
今回は、アパート経営のリスクとリスクを回避する方法を解説します。
目次
アパート経営のリスクと失敗する原因
アパート経営には、一般的に以下5つのリスクがあります。
- 空室リスク
- 家賃滞納リスク
- 自然災害のリスク
- 老朽化によるリスク
- 立地によるリスク
上記5つのリスクに関しては別の記事で解説しているので、詳細は以下の記事をご覧ください。
ここでは主に、長期間アパート経営する上で知っておきたい「お金」に関するリスクを解説します。
金利上昇リスク
アパート経営を始めるには、まとまった資金が必要です。
そのため、多くの人がアパートローンを組んで物件を購入します。
ローンの金利には固定金利と変動金利がありますが、アパートローンは変動金利で組むケースが多く、金利上昇のリスクがあります。
現在は低金利が続いているため、金利の基準が低い変動金利は借り手にとって有利です。
しかし、将来的に金利が上昇する可能性はゼロではないため、金利上昇リスクに注意が必要です。
以下の表は、金利が1%変わると月々の返済額がどれくらい変わるのかを比較したものになります。
借入条件:借入額5,000万円、返済期間30年、元利均等返済
金利 | 月々の返済額 | 総返済額 |
2% | 18.4万円 | 6,653万円 |
3% | 21万円 | 7,588万円 |
借入額が同じでも、金利が1%変わると月々3万円(年間36万円)、総額935万円の差があります。
金利が上昇して返済額が増えれば、賃貸経営も赤字となる可能性があり危険です。
金利上昇によってアパート経営が失敗する原因は、資金計画が甘かったこと、借入額が大き過ぎたことが考えられます。
家賃下落リスク
中古アパートの場合、各部屋で賃料が異なるケースがあります。
1つの部屋の賃料を下げることで、他の部屋の賃料を下げざるを得なくなるリスクもあります。
具体例として、アパート経営を始めたAさんのケースで解説していきましょう。
Aさんは、アパート経営を始めて半年経ちますが、空室が続いたため賃料を下げることにしました。
空室の賃料を下げたことで、賃料収入に対してかかる維持費がギリギリになり、赤字にならないか不安を感じています。
ある日、Aさんのアパートに住むBさんから、「募集中の空室の賃料をインターネットで検索した。自分の部屋も賃料を下げて欲しい。」と言われてしまいました。
Bさんが退去すると再度募集しないといけなくなるため、Aさんは対応することにします。
するとBさんの賃料が下がったことを知った他の部屋の住人が、同じように賃料を下げて欲しいと依頼してきたため、結局すべての部屋の賃料を下げることになりました。
この事例は住民同士、交流があった比較的めずらしいケースですが、自分の身に起こる可能性はゼロではありません。
家賃が1万円下がると利回りはどうなる?
それでは、家賃が1万円下がると利回りはどれくらい下がるのでしょうか。以下の条件をもとに計算していきます。
条件※満室時を想定しています。
- アパートの購入価格6,000万円
- 全8部屋
- 年間経費 150万円
1部屋の賃料 | 年間の賃料収入(満室時) | 実質利回り※ |
6万円 | 576万円 | 7.1% |
5.5万円 | 528万円 | 6.3% |
5万円 | 480万円 | 5.5% |
※実質利回り=(年間の賃料収入ー年間経費)÷物件価格×100
上記の計算では、家賃が1万円下がると利回りが約1.5%、賃料収入が年間100万円下がりました。
このケースでは空室を考慮していませんが、家賃下落に加えて空室も発生している場合、さらに利回りが低くなるでしょう。
家賃下落でアパート経営に失敗する原因として、物件の立地が悪いなど物件選びに失敗して空室が続いてしまうことが挙げられます。
アパート経営のリスクを回避するには?
金利上昇や家賃下落のリスクを回避するには、返済比率を意識することと、賃貸ニーズのある物件を購入することがポイントです。
返済比率を意識する
金利上昇に対するリスクを回避するために、返済比率を意識して、返済計画を立てることが大切です。
返済比率は、家賃収入に対して金融機関へ返済する金額の割合で、以下の計算式で求めます。
長期のアパートローンを組む場合、返済比率50%が目安です。
しかし、50%を目標にすると物件を購入することが難しい可能性もあるので、物件の条件によって考慮することも大切です。
また、変動金利ではなく固定金利でローンを組むのも手段の一つです。ただし、固定金利は変動金利よりも基準の金利が高いので、利息を多く支払う必要があります。
賃貸ニーズのある物件を購入する
家賃下落に対するリスクを回避するには、立地も重要です。
賃貸ニーズがない地域は、物件の条件が良くても入居者募集に苦労し、賃料を下げざるを得なくなる可能性があります。
利便性が高く立地の良い物件であれば、家賃下落の影響を受けにくいでしょう。
【トラブル事例で解説】悪徳業者によるアパート経営のリスク
大きなお金が動くアパート経営では、悪徳業者によるリスクもあります。
ここでは、アパート経営で起こったトラブル事例の紹介です。
サブリースによる家賃下落
空室による家賃下落の他にも、サブリースによる家賃下落リスクもあります。
サブリースとは、サブリースを行っている管理会社がオーナーから一括借り上げし、管理会社が運営を行う賃貸経営方式です。
サブリースについては以下の記事で詳しく解説しているので、興味がある人はご覧ください。
サブリース契約では、空室でも家賃を保証されるタイプの契約があります。
そのため、家賃が保証される=安心と考えるオーナーも少なくありません。
サブリースに関するトラブル事例
- 退去の度に高額な修繕費を請求される
- 家賃の見直しが毎年起こり、どんどん家賃が下がっていく
修繕費が高くなることを管理会社へ問い合わせると、「経年劣化で不具合が起こるため」と説明を受けます。
入居者が壊したものはオーナーが請求できますが、経年劣化による修繕はオーナーが負担することが一般的です。
保証されるはずだった家賃が下がっていくため、収益が少なくなり赤字になるケースです。
大手ディベロッパーによる施工不良問題
数年前に、賃貸アパートの大手企業による施工不良問題がニュースになったことを覚えている人もいるのではないでしょうか。
トラブルの内容は、壁や天井などに施工不良が見つかり、入居者やオーナーが転居を余儀なくされたというものです。
通常、アパートでは延焼防止のために「界壁」という仕切り壁が必要ですが、この事例では小屋裏界壁の施工がされていませんでした。
界壁の施工がされていないことで、
- 防火上の耐火性能が低下している可能性がある
- 遮音性が低下し、生活音が伝わりやすくなっている
などの問題が考えらます。
大手が施工したアパートでも、このようなトラブルが起こり得ます。
結局、アパート経営は危険なの?
結論から言うと、アパート経営=危険ではありません。
冒頭でも述べたように、リスクはどの不動産投資にもあります。
ただし、アパート経営では大きなお金が動くため、悪徳な不動産事業者がいるのは事実ですし、資金計画や知識不足から失敗する人もいます。
大手企業の物件だから、大手不動産会社に依頼するからと安心せずに、物件の賃貸ニーズはあるのか、資金計画に無理はないか自分でしっかり確かめることが大切です。
ただし、自分だけの力では限界があるので、信頼できる不動産会社を見極めて困った時に相談することもポイントです。
不動産投資の知識を身につけ、困った時は信頼できる不動産会社に相談すればアパート経営のリスクは下がるでしょう。
不動産会社の見極め方は、以下の記事で解説しているので参考にしてください。
アパート経営にはメリットも多い
この記事では。アパート経営のリスクに注目していますが、アパート経営には当然多くのメリットもあります。
アパート経営の大きなメリットは、区分マンションに比べて高い利回りを期待できる点です。
利回りが高いと、早くキャッシュフローがたまり、事業規模を拡大することも可能です。
アパート経営をはじめとした不動産投資のメリット、デメリットについてはこちらの記事をご覧ください。
まとめ
アパート経営には金利上昇、家賃下落などさまざまなリスクがありますが、リスクはどの不動産投資にもあります。
リスクに対して幅広く対策を取り、リスクに備えることが大切です。
アパート経営の始め方については以下の記事でまとめているので、アパート経営を検討している人はぜひご覧ください。