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2021年11月26日

過去のサブリース問題から学ぶ!トラブルを回避するためのチェックポイント

サブリースは、賃貸経営における空室リスク対策として有効的な手段です。

しかし、過去にニュースで大きく取り上げられた「かぼちゃの馬車事件」「大手不動産会社による賃料保証の減額」など、これまでに複数の問題が生じていることも事実です。

過去のサブリース問題の多くは、「空室でも30年間家賃が保証される」と言った営業トークによって、投資家が被害を受けたことが原因です。

空室リスクを心配する不動産オーナーにとってこの様なうたい文句は魅力的なため、非常に多くの人が被害にあってしまいました。

今回は、過去に起きたサブリース問題はどのような原因によって生じたのか、サブリースによるトラブルを回避するためのチェックポイントと併せて解説します。

サブリースとは?図解でわかりやすく解説

サブリースとは、不動産会社がオーナーから物件を一括で借り上げて第三者に転貸(又貸し)する仕組みです。

不動産会社とオーナーがサブリース契約を結ぶと、不動産の管理や入居者の募集など、賃貸業務を不動産会社が主体で行います。

サブリースの期間は不動産会社が物件管理の主体となるため、入居者に賃貸する際に締結する賃貸借契約も、入居者と不動産会社で締結します。

サブリースと一般的な管理委託の仕組みを以下の図にまとめました。



不動産会社に物件の管理を任せるという点では、一般的なサブリースと管理委託は同じです。

しかし、サブリースの契約の主体は不動産会社と入居者であるることに対して、管理委託の契約の主体は貸主と借主です。

サブリースのメリット

サブリースには以下3つのメリットがあります。

  • 管理業務をすべて不動産会社に任せられる
  • 空室でも安定して賃料収入を得られる
  • 広告料の負担を軽減できる

サブリースでは、管理業務の負担が減るだけでなく、空室時にも賃料収入が保証される仕組みです。

空室に悩む不動産オーナーは少なくありませんが、サブリースで賃貸経営することで、毎月安定した賃料収入を見込めます。

また、入退去のタイミングでは、それに伴う費用が発生します。

サブリースでは、入居者が決まった際、仲介してくれた不動産会社に支払う広告料を不動産会社が負担してくれるケースが多いです。

ただし、負担してくれる割合や費用の範囲は不動産会社によって異なるため、契約時に確認することをおすすめします。

以下の記事では空室対策について解説しているので、興味がある人はご覧ください。

 

サブリースのデメリット

サブリースには以下のデメリットがあります。

  • 得られる賃料収入を減額される場合がある
  • 収益性が低くなる可能性が高い

サブリースで不動産会社がオーナーに支払う賃料保証の原資は、入居者が支払う家賃です。

空室期間が長引いたり、物件の老朽化で入居付けが難しくなったりした場合、オーナーに保証される賃料収入が減額される場合があります。

サブリースの契約期間は、ずっと同じ賃料収入を得られる訳ではない点に注意が必要です。

また、サブリースでは、入居者が支払う家賃=オーナーが得られる賃料収入ではありません。

サブリースの手数料相場は、賃料収入×10%~20%となっており、手数料を差し引いた金額がオーナーの手取りです。

アパートにおける一般的な管理委託手数料の相場は賃料収入×5%程度となっているので、サブリースは管理委託よりもコストが多くかかります。

例えば、賃料収入100万円の場合、オーナーが得られる賃料収入はサブリースで80~90万円、管理委託で95万円程度です。

サブリースでは、空室リスクが低くなる分コストがかかり、収益性が下がるという点がデメリットです。

 

過去のサブリース問題① かぼちゃの馬車事件

過去には、サブリースを悪用した事業者によって、多くの不動産投資家が被害を受けています。

今回は、過去のサブリース問題から2つの事例を紹介します。

まずは2018年に起きた「かぼちゃの馬車事件」です。

 

かぼちゃの馬車事件の概要

かぼちゃの馬車事件とは、「かぼちゃの馬車」と言う女性専用シェアハウスに投資をした多くの投資家が多額のローン返済に滞り、自己破産もしくは破産寸前に追い込まれた問題です。

この事件の概要は、まず、不動産会社が投資家と長期のサブリース契約を締結し、限度額以上の融資を受けさせ、新築シェアハウスを建築しました。

しかし、サブリースによって不動産会社から保証されるはずの賃料収入が滞り、投資家がローンを返済できなくなったと言うものです。

 

問題点:シェアハウスのビジネスモデル

かぼちゃの馬車事件には複数の問題がありましたが、トラブルの大きな原因の1つにシェアハウスのビジネスモデルがあります。

近年シェアハウスが人気の理由は、リビングなどの共有スペースを通して入居者同士の交流を楽しむことができるためです。

しかし、かぼちゃの馬車にはそのような共用スペースがありませんでした。

さらに、個室は非常に狭く設計され、入居者が快適に過ごせる間取りでもなかったようです。

また、入居者側のシェアハウスのメリットとして、一般的なアパートの相場よりも賃料が安いことが挙げられます。

しかし、かぼちゃの馬車は相場に対して割安とは言えず、むしろ設備や間取りの割に相場よりも割高な物件でした。

このように入居者に配慮したビジネスモデルではなかったため、入居付けが難しく空室が長期化する物件が目立ちました。

 

問題点:自転車操業のスキーム

かぼちゃの馬車事件が起きたもう1つの大きな原因は、不動産会社による自転車操業のスキームです。

かぼちゃの馬車では賃料保証35年とうたっており、オーナーに支払われる賃料は、入居者が支払う賃料よりも高く設定されていました。

一般的なサブリースは、入居者が支払う賃料から不動産会社の利益を差し引いた金額がオーナーに支払われるため、この仕組みはあり得ないものです。

かぼちゃの馬車でオーナーに支払われる家賃の原資となっていたのは、不動産会社が下請けの建築会社から得るキックバックでした。

不動産会社は相場よりも高い価格で土地と建物をオーナーに購入させ、上乗せした利益をキックバックとして下請けの会社から得ていたという仕組みです。

つまり、このビジネスモデルでオーナーへの賃料を長期間保証するためには、新たな投資家を探し、新しい建物を建築し続けなければいけないということです。

このような自転車操業のスキームは長く続かず、オーナーへの賃料保証が滞ってしまいました。

ちなみに、かぼちゃの馬車事件では、もう1つの大きな問題として、オーナーが限度額よりも多くの融資を受けられたことがあります。

オーナーが限度額以上の融資を受けられた理由は、不動産会社と金融機関の担当が裏で不正をしていたためです。

審査に提出する書類を偽装し、本来は受けられない融資額で審査が通ってしまいました。

かぼちゃの馬車事件は、このように複数の原因によって起きてしまったサブリース問題です。

 

過去のサブリース問題② 賃料保証の減額

賃料保証の減額による問題は、大手不動産会社がオーナーと30年間のサブリース契約を締結し、次々とアパートを建築させたことで生じた問題です。

この問題では、狭いエリアに物件を立て過ぎ、供給過剰で空室が埋まらない状態が続いてしまいました。その影響でオーナーへ保証する賃料の減額、急なサブリース契約の打ち切り等が行われ、多くのオーナーが集団訴訟を起こしました。

さらにこの問題では、同時に違法建築の問題も顕在化しています。外壁や天井の耐火性能など、一部について建築違反をしていたようです。

賃料保証の減額による問題では、日本人なら誰もが知っている大手不動産会社が起こした不祥事だったため、当時話題となりました。

 

サブリースのトラブルを回避するためには?


サブリースによる賃貸経営を検討している場合、トラブルを回避するための知識を得ているかどうかでリスクが大きく異なります。

かぼちゃの馬車事件や賃料保証の減額による問題が生じた原因は、以下2つです。

  • 不十分な法整備
  • オーナーの知識不足

ただし、不十分な法整備に関しては、過去のトラブルを受けて2020年6月にサブリース新法が成立するなど法整備が進んでいます。

賃貸物件の管理における、適切な運営のための制度として「賃貸住宅管理業者登録制度」というものがあります。

この制度は、不動産の管理委託を受けて賃貸住宅の管理業務を行う事業者が、国土交通大臣による登録を受ける制度です。

任意の登録制度として2011年12月から実施されていましたが、2021年6月に登録が義務化されました。

また、国土交通省によってサブリース事業者へのガイドラインも公表されており、今後はサブリース問題が減少することが予想されます。

ただし、今後もサブリース問題に巻き込まれないように、投資家としてサブリースについて理解を深めることが大切です。

 

サブリース契約前のチェックリスト

サブリースによる賃貸経営を検討している場合、契約内容についてよく理解する必要があります。契約締結前にチェックするべき項目を以下にまとめたので、参考にしていただければと思います。

 

サブリース契約前のチェックリスト

・サブリース事業者が賃貸住宅管理業者の登録業者である

・契約期間中や更新時に、賃料が減額される場合があることを知っている

・契約期間中でも契約解除される場合があることを知っている

・原状回復費用や大規模修繕費用は、原則、オーナー負担であることを知っている

・契約締結前に重要事項の説明があった

・契約締結時に書面での交付があり、説明を受けた

・サブリースのデメリット、リスクを確認した

特に、不動産会社が賃貸住宅管理業者の登録業者であるかどうかを確認することで、トラブルを回避できる可能性が高くなります。

賃貸住宅管理業者への登録が義務化されたのは、2021年6月です。現時点で賃貸住宅管理業を営む事業者は、2022年6月15日までに申請する必要があります。

登録業者かどうかは国土交通省の公式サイトから検索できるので、気になる人は検索してみてくださいね。

国土交通省 | 賃貸住宅管理業者 検索 (mlit.go.jp)

 

まとめ

過去には、悪質なサブリース事業者による複数の問題が起きています。被害にあわないためにも、不動産投資家として充分注意が必要です。

サブリース新法の成立によって法整備が整いつつありますが、今回紹介したチェックポイントを契約前に確認するなど、引き続きサブリースに対する理解を深めていきましょう。

この記事を書いた人

代表 山本

大吉不動産株式会社 代表取締役 2005年より不動産業に携わり、自らも区分のワンルームマンション投資や一棟アパート投資を実践している。 多くの不動産投資成功者を見る一方、初心者の失敗相談も多く受ける中、失敗する方を減らすため情報を提供しつつ、これから不動産投資を始める初心者の方を中心に不動産投資のいろはをお伝えしております。

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