2022年02月10日
ワンルームマンション投資にメリットなし?一棟物件との違い徹底解説
「ワンルームマンション投資で失敗したってよく聞くけど、メリットはあるの?」
ワンルームマンション投資に興味がありつつも、このような疑問を抱いている人もいると思います。
どのような投資でも良い面も悪い面もあります。
大切なことは、メリットやデメリット・リスクの両面を正確に理解すること、
自分の資産背景や目的に適した手法で不動産投資を行うことです。
たくさんの現金を持っていて相続対策で不動産投資をする人と、自己資金は少なく融資を使って効率よく資産を増やしたい人とでは違うからです。
ここでは、ワンルームマンション投資を「一棟アパート・マンション投資」と比較してメリットとリスクを解説します。
ワンルームマンション投資を始めるべきか、検討する際の参考にしていただければ幸いです。
目次
【ワンルームマンション投資のメリット】一棟物件との違い
不動産投資は、ワンルームマンション投資以外に、一棟丸ごと所有する一棟アパート・マンション投資があります。
対象の物件によって投資スタイルが大きく異なります。
ここでは、ワンルームマンション投資のメリットを、一棟アパート・マンション投資と比較しながら解説していきます。
ワンルームマンション投資のメリット① 不動産投資ローンの借り入れ額が少ない
不動産投資を始める際、ローンを組んで収益物件を購入する人がほとんどです。
ワンルームマンション投資は一棟物件と比べて物件価格を抑えられるため、ローンを組むことに抵抗がある人でも始めやすい投資手法と言えます。
不動産ポータルサイトを確認すると、東京都のワンルームマンションは数百万円~3,000万円の価格帯が多く、一棟アパート・マンションは、数千万円~数億円以上の価格帯が多くなっています。
ローンの借入額が大きいほど、精神的な負担や支払う利息も大きくなります。
借り入れの負担が少ないことはワンルームマンション投資のメリットと言えるでしょう。
ワンルームマンション投資のメリット②少ない自己資金でも始められる
ワンルームマンション投資は購入価格が低いため、一棟物件よりも少ない自己資金で始められます。
ローンを借り入れる場合でも、収益物件を購入する際に頭金や税金、手数料といった諸費用のための自己資金が必要です。
あくまでも目安ですが、頭金は物件価格×5%~、諸費用は物件価格×5~7%です。
前述の通り、ワンルームマンションと一棟物件には価格帯に大きな差があります。
初期費用は物件価格に比例するため、物件価格が安いワンルームマンション投資では初期費用も安くなり、少ない自己資金で始められることが可能です。
初期費用や頭金については以下の記事で解説しているので、興味がある人はご覧ください。
ワンルームマンション投資のメリット③物件の選択肢が多い
一棟物件よりも物件の選択肢が多いことも、ワンルームマンション投資のメリットです。
不動産ポータルサイトで掲載されている、東京都のワンルームマンションの物件数は、一棟物件よりも約1.5~2倍程度多くなっています。
物件数が多い=優良物件が多いとは限りませんが、選択肢が多ければ自分に合った物件に出会える可能性も高くなります。
選択肢の幅が広いことは、ワンルームマンション投資のメリットと言えるでしょう。
ワンルームマンション投資のメリット④立地による空室リスクを分散できる
空室リスクと言っても、物件が老朽化したなど物件自体が原因のものもあれば、周辺環境の変化や人口減少など立地が原因のものもあります。
ワンルームマンション投資では、後者の空室リスクに備えることが可能です。
たとえば、10戸の一棟アパート・マンションを1件所有する場合と、1戸のワンルームマンションを10箇所に所有する場合では、ワンルームマンション投資の方が立地による空室リスクを分散できます。
一棟物件では、周辺の環境変化によって空室が出た場合、物件全体に影響が出てしまいますが、ワンルームマンション投資では、他の物件に入居者がいる限り安定して家賃収入を得られるでしょう。
ワンルームマンション投資のメリット⑤アパートよりも耐久性がある
一棟アパートと比べた場合、物件の耐久性があることもワンルームマンション投資のメリットです。
アパートとマンションに明確な定義がありませんが、一般的には以下のように構造や規模の違いで分類されることが多くなっています。
【一般的なマンションとアパートの違い】
マンション | アパート | |
構造 |
鉄筋コンクリート造(RC造) 鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造) |
木造 軽量鉄骨造(LGS造) |
建物の高さ | 3階建て以上 | 2階建てなどの低層 |
マンションは、構造上、アパートよりも丈夫な造りであることが多く、物件の耐久性も高い傾向です。
【ワンルームマンション投資のリスク】一棟物件との違い
ワンルームマンション投資のメリットを確認できたところで、リスクも確認しておきましょう。
ここでも、一棟物件と比較しながら解説します。
ワンルームマンション投資のリスク①事業規模を拡大できないリスク
事業規模を拡大できないリスクとは、低利回りで赤字経営が続き、追加融資を受けられないというリスクです。
利回りは、収益物件がどれだけ儲かっているのかを確認する際の指標の1つです。
利回りが低いということは、投資した金額に対して多くのリターンを得られていないということを意味します。
利回りが低くなるケースには、相場に対して高額で物件を購入した場合や、経費がかかり過ぎている場合、ローンの返済負担が大きい場合などが挙げられます。
特に新築ワンルームマンション投資では、利回りが低く赤字経営が続くといったケースが少なくありません。
不動産会社によっては「税金が戻ってくる」と節税のアピールをしている会社もありますが、要は「赤字経営」です。
赤字経営が続けば賃貸経営が上手くいっていないと評価される可能性があります。
追加で収益性の高い一棟アパート・マンションを購入したいと思っても、融資を受けられずに購入できない場合があるでしょう。
ワンルームマンション投資のリスク②資産価値下落リスク
「マンションは耐久性があるため、資産価値が下がりにくい」と言われることがあります。
構造が丈夫という観点からすると、確かに資産価値が下がりにくい側面もあります。
しかし、ワンルームマンション投資の場合、所有する資産のほとんどが建物という点に注意が必要です。
建物は、年数が経つにつれて資産価値が下がる減価償却資産。
一方、土地は立地や需要によって資産価値が左右される場合がありますが、経年によって価値が下がるものではありません。
土地と建物をセットで所有する一棟物件と比べて、ワンルームマンションは資産価値の下落リスクが高いと言えます。
ワンルームマンション投資のリスク③1部屋の空室リスクが高い
ワンルームマンション投資のメリットでは、立地による空室リスクを分散できると解説しました。
しかし、ワンルームマンションを1部屋のみ所有する場合、家賃収入を得られるか得られないかと言った状況になるため、1部屋に対する空室リスクが高くなります。
一棟物件の場合、一棟所有していれば空室が出ても他の部屋で家賃収入を得られます。
ワンルームマンション投資では、空室期間が長引くほどローンを返済できなくなる可能性も高くなります。
ワンルームマンション投資のリスク④期待通りの節税効果を得られないリスク
ワンルームマンション投資を始める人の中には、「節税効果」を期待する人が少なくありません。
しかし、本当に節税できるかどうかは、慎重に判断する必要があります。
不動産投資による節税とは、減価償却費をはじめとした経費を計上して赤字をつくり、本来納めるべき所得税・住民税の負担を軽くする仕組みです。
減価償却費とは、建物の価値が目減りした部分を経費として計上できる会計上の勘定科目で、これを大きく計上しやすい物件は、木造の中古アパートです。
ワンルームマンションは構造上、減価償却費を大きく計上することが難しいため、節税効果を得られない可能性があります。
また、不動産投資による所得税・住民税の節税効果を得やすい人は、給与所得が高く、もともと高額の税金を納めている人です。
納めている税金が高額でない場合、期待するほどの節税効果を得られない可能性があるでしょう。
【新築 VS 中古ワンルームマンション投資】どっちがいいの?
ワンルームマンション投資を始める場合、新築か中古かという選択肢があるため、どちらを購入するべきか迷う人もいると思います。
結論として、両者を比較した場合に赤字経営になるリスクが高いのは「新築ワンルームマンション」です。(ただし、物件によってリスクが異なるため一概には言えません)
以下の表は、新築・中古ワンルームマンション投資の利回りやリスクを比較したものです。
【新築・中古ワンルームマンション投資の比較】
新築 | 中古 | |
利回り | 低い傾向 | 高い物件もある |
資産価値下落リスク | 高い傾向 | 低い物件もある |
空室リスク | 物件・立地次第 |
※物件によって異なるため、あくまでも一般的なケースとしてご覧ください。
新築と中古の物件では、価格の決まり方が異なります。
新築物件では、人件費、広告費、利益等を考慮した上でデベロッパーが価格を決めます。
一方、中古物件では、市場の相場を加味して売主が価格を決めるケースが一般的です。
新築物件はデベロッパーや不動産会社の利益が上乗せされていて、相場よりも高値で取引されることが多いです。
利回りが低く、購入後に資産価値が大きく下がる傾向にあるため注意が必要です。
空室リスクは対象の物件や管理状況によって異なるため一概には言えませんが、利回りの高さや資産価値下落リスクを考慮した場合、中古物件を選んだ方がいいかもしれません。
ワンルームマンション投資の鍵はキャッシュフロー
ワンルームマンション投資に興味がある人は、手元にお金が残る(キャッシュフローがたまる)かどうかを意識して物件を選びましょう。
先ほど解説したように、新築ワンルームマンションは利回りが低く、資産価値下落リスクが高い傾向にあります。
「節税できる」「資産になる」といった言葉を鵜呑みにせず、キャッシュフローがたまるかどうかをしっかりと見極めることが大切です。
以下の記事では、キャッシュフローの考え方について解説しているので、こちらも併せてご覧ください。