2022年01月21日
中古アパート経営を始める前に知っておこう!減価償却・税金について解説
中古アパート経営をスタートするには、さまざまな費用がかかります。
中古アパート経営を成功させるためには、それらをきちんと理解しておくことが大切です。
この記事では、中古アパート経営にかかる初期費用や融資ローン、減価償却費、税金など、一棟オーナーを始める前に知っておきたい情報を詳しく解説します。
目次
中古アパート経営にかかる諸費用、初期費用一覧
中古アパート経営の初期費用は、物件の購入価格以外にさまざまな費用がかかります。
中古アパート購入時にかかる諸費用は、以下のようなものがあります。
- 仲介手数料
- 登記費用
- 印紙代
- 火災保険
- ローン、融資手数料
あとから想定外の費用がかかって失敗することのないように各費用を理解しておきましょう。
中古アパート経営にかかる費用① 仲介手数料
賃貸物件の購入は不動産会社を介して行うのが一般的で、無事に売買契約が成立した場合には不動産会社へ「仲介手数料」を支払います。
仲介手数料は宅地建物取引業法によって上限が決められており、物件価格が400万を超える場合は「(物件価格✕3%+6万)+消費税」で算出できます。
中古アパート経営にかかる費用② 登記費用
法務局にある登記簿に不動産の所有権を記録して公にすることで、正式に所有者となります。
この登記手続きの際に国に納める登録免許税や、手続きをしてもらう司法書士への報酬などが登記費用です。
【登記の種類と税率】
- 土地の所有権移転登記=評価額×2.0%
- 所有権保存登記(新築物件)=評価額×0.4%
- 所有権移転登記(中古物件)=評価額×2.0%
- 抵当権設定登記(住宅ローンの借り入れがある場合)=借入額×0.4%
印紙代
不動産の売買契約書を交わす際には印紙税がかかるため、税額分の印紙を契約書に貼って納めます。
税額は契約書の記載金額によって異なり、平成30年3月31日までは租税特別措置法により不動産売買契約書の印紙税は軽減されています。
【不動産売買契約書の印紙代】
記載金額 | 印紙税額(1通または1冊につき) |
1万円未満 | 非課税 |
10万円以下〜50万円以下 | 200円 |
100万円以下 | 500円 |
500万円以下 | 1,000円 |
1000万円以下 | 5,000円 |
5,000万円以下 | 10,000円 |
1億円以下 | 30,000円 |
5億円以下 | 60,000円 |
10億円以下 | 160,000円 |
50億円以下 | 320,000円 |
50億円超 | 480,000円 |
火災保険
火災保険の加入は任意ですが、自然災害に備えて火災保険に加入しておくことをおすすめします。
アパート経営向けの火災保険では、家賃収入補償などの特約があるタイプもあります。
保険料は建物の種類や補償内容によって異なるので、最適なものを選びましょう。
ローン手数料
融資ローンを利用して投資用物件を購入した場合、申し込み時に事務手数料がかかります。
手数料の相場は借入額の1~3%程度と考えられますが、銀行や金融機関によって異なるので事前に確認しておきましょう。
中古アパート経営・融資ローンについて
アパート購入に必要となる融資(アパートローン)について、詳しく見てみましょう。
ローンを組むことで自己資金を少なく抑えられるため、アパート経営を始めやすいメリットがあります。
アパート・マンション経営などの不動産投資を始めるほとんどの人が、融資ローンを利用して物件を購入します。
融資してくれる金融機関
投資用不動産への融資をしてくれる金融機関は、
- 都市銀行
- 地方銀行
- 信金・信組
- ノンバンク
などです。
それぞれの金融機関によって金利や返済年数、借りられる金額は異なり、融資基準や条件にも違いがあります。
一般的に、個人の源泉徴収票や確定申告書、物件の資料、事業計画書などを提出し、金融機関の審査が通れば資金を借りることができます。
事業性のローンなので、住宅ローンより金利が高く、審査も厳しいです。
中古アパートの融資条件
中古アパート経営への融資条件はさまざまですが、
- 金利は2%〜3%(平均的な数値として)
- 保証人・連帯保証人の有無
- 団体信用生命保険(団信)の有無
などがあります。
金融機関は融資する相手が信用できるかどうかをチェックするため、これまでに取引実績のない人に融資する場合には、実績のある人に比べて金利が高くつきやすい傾向があります。
自己資金(頭金)が20%程度必要な場合からフルローンが可能なケースまで人や金融機関と購入予定の物件によって条件はさまざまです。
利用する金融機関、融資を受ける人、物件などによって異なるので、融資ローンについて質問や疑問があれば、大吉不動産へお気軽にご相談ください。
さらに詳しく融資について知りたい方はこちら
中古アパート購入の際の注意点
中古アパートを購入する際には、以下の点に注意が必要です。
融資の際「元利均等」「元金均等」の違いを理解する
融資ローンの返済方法には、「元利均等」「元金均等」があります。
【元利均等】毎月支払う返済額(元金+利息)が一定となる返済方法のこと。
- メリット:返済開始時の返済額が少ない。
- デメリット:元金均等返済よりも総返済額が多い。
【元金均等】毎月支払う返済額のうち、元金の金額が一定となる返済方法のこと。
- メリット:元金の減少が早く、元利均等返済よりも総返済額が少ない。また、返済が進むと返済負担が少なくなる。
- デメリット:返済開始時の返済額が高いため、当初の返済負担が重くなる。
アパート経営では「元利均等」を選ぶのが一般的ですが、適している返済方法が異なる場合もあります。
返済方法の違いをしっかりと理解した上で、きちんと資金計画を立てるようにしましょう。
エリアと家賃設定
アパート経営では、空室リスクを抑えるために、次の点に注意することが大切です。
- 賃貸需要のあるエリアを選ぶ
- 適切な家賃を設定する
駅から近い・都心に出やすいなど利便性の高いエリアは、賃貸需要が高い傾向があります。
また、家賃を高く設定しすぎると入居者に選ばれにくくなってしまうので、適切な家賃設定をするようにしましょう。
キャッシュフロー
不動産投資をする際には、利回りだけでなく、家賃収入から経費やローン返済などを差し引いて残るキャッシュフロー(手取り額)を意識しておくことも重要です。
キャッシュフローに余裕がないと、空室率が高くなったときや税金の支払い時に慌ててしまう可能性があります。
事業計画はしっかりと立てて、安易にキャッシュフローに手をつけないようにしましょう。
ローン返済における注意点
金融機関から借入をした際に「期限の利益」といって、借りたお金を返済期限まで返さなくて良いという権利が与えられます。
しかし、債務者の破産や返済の滞り、契約違反など契約書記載の条項に違反した場合、全てのローン返済を請求することができます。
ローンの一括請求です。
一括返済となれば現金が必要になりますが、持っていない…となると物件の売却をするしかありません。
契約違反を起こすことで、銀行からの信用は失われ、せっかく購入した物件は売却、購入時・売却時にかかる経費は無駄になってしまいます。
契約書に従いきちんとローン返済を行なってください。
中古アパート経営における減価償却の計算方法
中古アパートの経営では、減価償却費がかかります。
どのような費用なのか計算方法をチェックしてみましょう。
節税対策にもなる減価償却とは?
減価償却は、年月が経つにつれて価値が減少していく建物や自動車(耐用年数が長いもの)などに対して、購入したときに全額必要経費とせずに、使用期間に分割して毎年必要経費とするものです。
減価償却費は経費として計上できるため、うまく活用すれば節税対策になります。
【大吉不動産の見解】
減価償却は経費計上できます。税金の申告が必要な場合とは…
- アパートやマンションなど賃貸に出している場合
- 物件を売却する場合
です。
賃貸に出している場合は、所得税がかかるので減価償却を経費計上することができます。
売却の際は、売却益に対して不動産譲渡所得に所得税が課せられるので減価償却を経費計上することができます。
減価償却の計算方法
減価償却費の計算方法は、償却費が毎年同額となる「定額法」と償却費の額が年々減少する「定率法」があります。
税制改正が行われたことから、届け出がない場合、2007年4月1日以降に取得した不動産は定額法が適用されます。
【定額法の計算方法】
建物の購入価格×国税庁が定めた定額法の償却率=減価償却費
【定率法の計算方法】
未償却残高×国税庁が定めた定率法の償却率=減価償却費
上記金額が償却保証額に満たなくなった年以降は、
改定取得金額×改定償却率=減価償却
に変更されます。
※国税庁が定めた償却率は、改正されることがあるので計算する際は国税庁のHPを参考にしてください。
国税庁HP:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2106.htm
耐用年数の計算方法
減価償却の償却率は耐用年数に応じて決められます。
建物の耐用年数は材質や工法などで定められていますが新築の場合になります。
ここでは、中古物件の耐用年数の計算方法についてご紹介します。
<中古物件の耐用年数の計算方法>は、
新築時の耐用年数−経過年+経過年数×0.2=取得時の耐用年数
<耐用年数を経過している場合>は、
新築時の耐用年数×0.2=取得時の耐用年数
です。
新築の場合の耐用年数は国税庁の耐用年数表に掲載されています。
新築住宅の場合は木造20年、鉄筋コンクリート47年と定められていたり、細かな材質や工法、用途によって異なりますので確認してみてください。
国税庁耐用年数表:http://www.web-seibunsha.jp/tebiki/pdf/9/pdf_mask/huroku.pdf
忘れた頃に来る?アパート経営に関わる税金とは
アパート経営では、どのような税金がかかるのか見てみましょう。
所得税
アパート経営で得た家賃収入など総収入から必要経費を引いたものを「不動産所得」といい、この所得に対して所得税がかかります。
所得税は所得が増えると税率も高くなる「累進税率」が用いられていて、所得金額に応じて税額は計算されます。
住民税
住民税は、住んでいる都道府県や市区町村に対して支払う税金です。
前年の所得に応じて税額が決まる「所得割」と、所得に関係なく一律額の「均等割」の2種類があります。
基本的に、均等割の税率は所得額の10%ですが、地域によって異なる場合があるので確認しておきましょう。
アパート経営で所得が増えれば、必然的に住民税も増えます。
所得割は、総所得から様々な控除を引いたものにそれぞれの市県民税をかけたものです。
控除の種類は以下のものになります。
- 生命保険料控除
- 社会保険料控除
- 医療費控除
- 雑損控除
- 地震保険控除
- 人的控除
- 小規模企業共済等掛金
個人事業税
アパート経営では、独立した部屋の数がおよそ10室以上もしくは独立した家屋が5棟以上の場合、個人事業税の課税対象になります。
個人事業税の簡単な計算方法は、以下の通りです。
(収入−必要経費−各種控除−事業主控除290万円)×税率5%=納税額
個人事業主は一律で年間290万円の控除が受けられるため、不動産所得が290万円以下であれば個人事業税はかかりません。
消費税
居住用建物の家賃収入に消費税はかかりませんが、アパートの中に貸店舗や貸事務所など事業用の家賃収入は消費税の対象となり、翌々年から納税しなければなりません。
ただし、事業用であっても、課税売上の合計が1,000万円以下であれば消費税はかかりません。
固定資産税
固定資産税は、毎年1月1日時点の固定資産(土地や建物)を所有する人に対して課税されます。
固定資産税の計算方法は以下の通りです。
課税標準額×標準税率(1.4%)=固定資産税
課税標準額は国が定めた評価基準に基づいて決定されます。
住宅用地の場合、条件にあえば軽減措置が受けられるケースもあります。
適用される税率は市町村ごとに異なるケースがあるので確認しておきましょう。
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中古アパート経営を不動産会社に相談する前に、お金の流れやどんな費用が必要なのかは把握しておくことが大切です。
お金の流れや費用、税金について、自分自身できちんと把握しておくことは中古アパート経営には欠かせない要素です。
今回解説した情報を参考にして、ぜひ中古アパート経営に関する知識を深めてみましょう。
しかし、中古アパート経営には多くの費用がかかり、わかりにくい税制・ルールがつきものです。
不動産投資を始めることに不安を感じているならば、信頼できる不動産会社に相談して、事業計画を立ててみてはいかがでしょうか。
アパート経営に知識の深い不動産会社に任せることで、失敗するリスクを回避できる可能性があります。
まとめ
- 中古アパート経営は物件価格以外にさまざまな諸費用がかかる
- 減価償却費は経費として計上できるため、活用することで節税対策ができる
- アパート経営に関わる税金を把握しておくことが大事