2022年05月19日
不動産取得税が100万円も安く!?軽減措置の適用条件や申請方法を解説
「投資用の不動産を購入したいけど、不動産取得税ってどれくらいかかるの?」
「不動産取得税の軽減措置は、投資用の不動産でも適用されるの?」
不動産投資を始める際、少しでもかかる費用を節約したいですよね。
不動産取得税は、購入する不動産によっては高額になる可能性があります。
ただし、軽減措置が適用されれば節税することも可能です。
ここでは、
- 不動産取得税とは
- 投資用不動産を購入する際の不動産取得税の軽減措置
- 不動産取得税の具体的な計算方法
- 不動産取得税の申請期限や必要書類
などを解説します。
不動産取得税の軽減措置を上手に活用して、お得に不動産投資を始めましょう。
また、この記事は不動産取得税の税額シミュレーションがついています。
実際にいくらの不動産取得税がかかるのかイメージしながら記事を読んでみてくださいね。
目次
不動産取得税の税率と計算方法
不動取得税とは、不動産を取得した人に課税される地方税で、建物と土地それぞれに課税されます。
ただし、相続で不動産を取得した際は課税されません。
不動産取得税を納税する際は、都道府県から送られてくる納税通知書を使用します。
納税通知書は、購入から半年程度経ってから送られてくるため、忘れずに準備しておきましょう。
不動産取得税の税率と計算方法
不動産取得税は、以下の計算式で求めます。
本則での不動産取得税の税率は4%ですが、土地や住宅に関しては令和6年3月31日まで以下の通り軽減税率が適用されます。
※不動産取得税の軽減税率(令和6年3月31日まで)
土地 | 3% | |
建物 | 住宅 | |
非住宅 | 4% |
参考元:東京都主税局(不動産取得税の計算方法)
それでは、具体的に不動産取得税を計算してみましょう。
例:令和3年5月に、固定資産税評価額2,000万円の土地と、1,500万円の住宅を購入した場合
計算方法
① 土地の不動産取得税60万円=固定資産税評価額2,000万円×税率3%
② 住宅の不動産取得税45万円=〃1,500万円×税率3%
①+② 不動産取得税は105万円です。
また、不動産取得税は軽減税率の他に軽減措置が設けられています。
軽減税率が適用されると、不動産取得税を大きく節税できるでしょう。
軽減措置の要件や計算方法は、2章から解説します。
固定資産税評価額とは
不動産取得税の計算で使用する「固定資産税評価額」とは、不動産取得税や固定資産税など税金を計算する際に基準となる不動産の価額です。
実際の売買価格とは異なるものなので、計算する際に注意しましょう。
固定資産税評価額は、市町村が作成した固定資産課税台帳で確認できます。
すでに不動産を所有している場合は、納税通知書や市町村の窓口で確認可能です。
これから不動産を購入予定の場合は、不動産会社の担当へ確認してみてください。
不動産取得税の軽減措置(投資用の不動産購入時)
前章で解説した軽減税率とは別に、不動産取得税には軽減措置が設けられています。
投資用の不動産の場合、新築住宅で要件を満たせば軽減措置が適用されます。
自己居住用の中古住宅にも軽減措置が取られていますが、投資用不動産では軽減適用が適用されないため、今回は新築の場合のみの解説です。
新築住宅に適用される軽減措置
以下の床面積の要件を満たす新築住宅を取得した場合、住宅の固定資産評価額から1,200万円を控除できます。
床面積の要件
一戸建て | 50m2以上240m2以下 |
マンション・アパート | 40m2以上240m2以下 |
上記の軽減措置が適用される場合、不動産取得税の計算方法は以下の通りです。
ちなみに、控除額1,200万円は1戸あたりの金額のため、共同住宅の場合は1,200万円×戸数が控除額となります。
また、マンションなど共用部分がある住宅の床面積は、専有部分だけでなく、専有部分の床面積に応じて振り分けられた共有部分の床面積も含まれます。
新築住宅に軽減措置が適用される際の具体例
それでは、具体的に軽減措置が適用される住宅の不動産取得税を計算してみましょう。
例:令和3年5月に、共用部分を含めた床面積200m2、固定資産税評価額1,800万円の区分マンションを購入した場合
住宅の不動産取得税額18万円=(固定資産税評価額1,800万円ー1,200万円)×3%不動産取得税は18万円です。
認定長期優良住宅の特例
令和4年3月31日までに認定長期優良住宅を取得した場合は、控除額の上限が1,300万円に増額されます。
床面積の基準は、通常の新築住宅の適用要件と同じです。
長期優良住宅の認定を受けるには、住宅着工前に申請をする必要があります。
長期優良住宅の購入を検討している人は、必ず早い段階で不動産会社へ相談してくださいね。
新築住宅の土地に適用される軽減措置
購入する住宅が軽減措置の適用を受けられる場合、土地にも軽減措置が適用される可能性があります。
土地の軽減措置は、軽減税率の他に2種類あり、1つは土地の固定資産税評価額が1/2に減額されるもの、もう1つは計算された税額から控除を受けられるものです。
土地に軽減措置が適用される場合の条件は、以下の通りです。
- 建物が軽減措置の条件を満たしている
- 先に土地を取得する場合、土地の取得から3年以内(令和4年3月31日まで)に住宅を新築する※
- 住宅を先に取得する場合、住宅の取得から1年以内に土地を取得する
※投資用不動産の中には、マンションなど戸数が多く完工までに時間がかかるものもあるでしょう。1棟につき100戸以上の住宅があるなど、事情があり3年以内に完工できない場合は、新築までの期間が4年に緩和される可能性があります。
土地に軽減措置が適用される際の計算方法
土地に軽減措置が適用される場合、土地の固定資産税評価額が1/2になり、税額に応じて控除額も受けられます。
土地に軽減措置が適用される場合の計算方法は、以下の通りです。
※控除額は以下どちらか高い方の額が適用されます。
a 45,000円
b (土地1㎡あたりの固定資産税評価額×1/2)×(住宅の課税床面積※×2)×税率
※住宅の課税床面積は最大200m2なので、200㎡を超える場合は200m2として計算します。
土地に軽減措置が適用される際の具体例
土地に軽減措置が適用される際の計算方法は少し複雑になるので、具体例をもとに解説していきましょう。
例:以下の条件でアパートを新築した場合の不動産取得税
- 購入時期:令和3年5月(税率は3%とします)
- 土地の固定資産税評価額:2,500万円
- 建物の課税床面積:150m2
- 土地の面積:200m2
① 控除額bを求めます。
土地1m2あたりの固定資産税評価額 約12万円
=固定資産税評価額2,500万円÷面積200m2
控除額b 約54万円
=(約12万円×1/2)×(建物の課税床面積150m2×2)×税率3%
② 控除額を計算した結果、a45,000円よりもb約54万円の方が大きくなるので、控除額はbです。
③ 最後に、土地の不動産取得税を計算します。
(土地の固定資産税評価額2,500万円×1/2×税率3%)ー控除額 約54万円
=土地の不動産取得税0円
不動産取得税の軽減措置で100万円以上の税金の差も
不動産取得税の軽減措置が適用される場合と、適用されない場合はどれくらいの差があるのか、シミュレーションで比較してみましょう。
シミュレーションの条件は、土地の軽減措置の具体例で使用した新築アパートのものを使用するので、土地の計算は省略します。
条件
土地の固定資産税評価額:2,500万円
建物の固定資産税評価額:1,500万円
※税率は3%とします。
以下の表に不動産取得税の計算式をまとめたので、一緒に計算していきましょう。
不動産取得税の計算式まとめ
本則 | 固定資産税評価額×税率 | |
軽減措置適用時 | 建物 | (固定資産税評価額ー1,200万円)×税率 |
土地 | (固定資産税評価額×1/2×税率)ー控除額 |
軽減措置が適用されないの場合の不動産取得税は、以下の通りです。
建物の不動産取得税 45万円=1,500万円×税率3%
軽減措置が適用される場合の不動産取得税は、以下の通りです。
土地の不動産取得税=0円(前章を参照)
建物の不動産取得税9万円=(1,500万円ー1,200万円)×3%
上記のシミュレーション結果をまとめると、以下の通りになります。
不動産取得税 | |||
土地 | 建物 | 合計 | |
軽減措置適用外 | 75万円 | 45万円 | 120万円 |
軽減措置適用時 | 0円 | 9万円 | 9万円 |
今回のシミュレーションでは、軽減措置が適用される場合と適用されない場合では、不動産取得税に100万円以上の差がありました。
投資用の不動産購入を検討している人は、このような軽減措置も活用してみてください。
不動産取得税の軽減措置を適用申請の仕方
不動産取得税の軽減措置を適用させるには、不動産がある地域の都道府県税事務所の窓口へ申請する必要があります。
申請は、不動産を取得した日から60日以内となっているので、忘れずに行いましょう。
ただし、都道府県によっては、不動産登記をする際に提出した書類をもとに軽減措置の処理をしてくれる場合もあります。
また、軽減措置が受けられるのに処理を忘れてしまった場合でも、申告が認められる可能性もあるので、念のため都道府県税事務所へ確認してみましょう。
軽減措置が適用された結果、不動産所得税の税額が0円の場合は、納付書が送られない可能性があります。きちんと申請を行っている場合は、軽減措置が無事に処理されているでしょう。
不動産取得税の軽減措置を受ける際の必要書類
新築の不動産を取得した際、土地を先行して取得するか、建物と土地を同時に取得するかで必要書類が異なります。以下の表に必要書類をまとめたので、参考にしてください。
土地を先行して 取得する場合 |
土地と建物を同時に 取得する場合 |
|
不動産取得税申告書 | 〇 | 〇 |
売買契約書・最終代金領収書 | 〇 | 〇 |
建築確認済証 | 〇 | |
建築工事請負契約書 | 〇 | |
平面図 | 〇 | 〇 |
長期優良住宅認定通知書※ | 〇 | 〇 |
登記事項証明書 | 〇 | 〇 |
賃貸借契約書 | 〇 | 〇 |
検査済証または登記事項証明書 | 〇 |
※認定長期優良住宅の場合
ただし、状況に応じて追加書類が必要になる可能性もあるので、詳細は各都道府県税事務所の窓口でご確認ください。
まとめ
不動産取得税は、不動産の価格によっては高額になる可能性があります。ただし、軽減税率や軽減措置の適用で大幅に節税できる可能性もあります。
不動産投資を検討している人は、軽減措置を上手に活用して賢く不動産を購入しましょう。
また、不動産を購入する際、不動取得税以外にも各種税金や諸費用がかかります。
不動産取得税以外の初期費用について詳しく知りたい人は、以下の記事もご覧ください。