2022年05月20日
不動産売却の流れ7ステップ!必要書類・やるべきことをまとめて解説
不動産を売却するとき、買う人を探したり契約の手続きは不動産会社が代行します。
とは言っても、売却活動を始める前の情報収集や、引き渡し時の書類準備など、売主としての仕事もたくさんあります。
事前に全体像を把握し、書類を用意しておくと取引がスムーズです。
ここでは不動産売却時の流れ、必要書類、売主としてやるべきことをまとめて解説します。
目次
【不動産売却の流れ】売主の役割を7つのステップで解説
不動産の売却を検討している方は、最初に全体像を確認しましょう。
不動産売却時の流れは、以下7つのステップです。
- 情報収集・不動産査定
- 媒介契約
- 買主候補を探す
- 内覧
- 条件交渉
- 売買契約
- 決済・引渡し
【不動産売却の流れ】STEP① 情報収集・不動産査定
情報収集で売主がやることは、主に3つです。
【情報収集の段階で売主がやること】
- 相場を確認する
- 売却活動の依頼先(不動産会社)を調べる
- 希望の売却時期、売却価格を確認する
【相場の確認】
不動産を売却する際、売り出し価格を検討します。
ただし、不動産には定価がないため、周辺相場を参考に売値を考える必要があります。
不動産会社による査定や、インターネットの情報から相場をチェックしましょう。
国土交通省の「不動産取引価格情報検索」では直近過去1~2年分の成約価格を確認できるので参考にしてみてください。
【売却活動の依頼先を調べる】
不動産の売却は、不動産会社に仲介を依頼することがほとんどです。
不動産を売却するためには、専門知識やノウハウが必要なので、個人で買い手を探して契約を締結することは困難です。
売却活動のほとんどは不動産会社が先導するため、不動産会社選びは慎重に行いましょう。
不動産査定や店舗での無料相談など、営業担当者と実際にコミュニケーションを取りながら依頼したい不動産会社を探してみてくださいね。
【希望の売却時期、売却価格の確認】
不動産を「いつまで」に「いくら」で売りたいのか、ある程度の目安を考えておくことも大切です。
たとえば、マイホームの住み替えを検討している場合、新居へ引っ越すタイミングや住宅ローンの残債によって時期・最低の売買価格が限定されます。
特に、売買代金でローンを完済したいと考えている場合、いくらで売れるかが重要なポイントです。
売却活動中に困ることがないように、相場やローンの残債を確認して計画的に進める必要があります。
【不動産売却の流れ】STEP② 媒介契約
売却活動を依頼する不動産会社が決まったら、不動産会社と売主との間で「媒介契約」を締結します。
媒介契約とは、不動産会社へ売却の仲介を正式に依頼するための契約です。
媒介契約では売買契約成立時に売主が支払う仲介手数料や、不動産会社が提供するサービスに関する取り決めを行います。
媒介契約には、「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」という3つの種類があり、それぞれ特徴が異なります。
【媒介契約の種類】
・一般媒介契約:複数の不動産会社へ売却活動を依頼できる契約。3つの中で最も売主の自由度が高く、不動産会社の責任が軽い。
・専任媒介契約:1社のみの不動産会社へ売却活動を依頼できる契約。
・専属専任媒介契約:1社のみの不動産会社へ売却活動を依頼できる契約。3つの中で最も売主の自由度が低く、不動産会社の責任が重い。
基本的な考え方は同じですが、契約の種類によって売主の自由度や不動産会社に課せられる責任の重さが異なります。
たとえば、不動産会社から売主に対する売却活動の報告義務の違いは以下の通りです。
一般媒介契約は売主が複数の不動産会社へ依頼できる一方、不動産会社に課せられる義務が軽くなります。
専任媒介契約・専属専任媒介契約は、売主が1つの不動産会社にしか依頼できないこともあり、不動産会社の責任も重くなる仕組みです。
それぞれの契約には他にも複数の違いがあり、売主の意向によって向き・不向きがあります。
詳細は、仲介を依頼する不動産会社へご確認ください。
【不動産売却時の流れ】STEP③ 買主候補を探す
不動産会社と媒介契約を締結したら、本格的に売却活動がスタートします。
売却活動は、主に不動産会社の営業担当が進めるため、売主としての仕事はほとんどありません。
【不動産会社がやること】
- 物件広告の作成、掲載
- チラシのポスティング
- 購入検討者への提案
不動産会社は、買主候補を探すために売り出す物件の広告を作成し、自社の公式サイトや不動産ポータルサイトへの掲載、チラシのポスティング等を行います。
自社に問い合わせがあったら、購入検討者に物件を提案して興味を持ってくれる人を探します。
【不動産売却時の流れ】STEP④ 内覧
買主の多くは、内覧で実際に物件を確認してから購入を検討します。
基本的には、内覧の日程調整や当日の案内は不動産会社の営業担当が行うため、こちらもお任せしましょう。
内覧時に売主がやるべきことは、以下2つです。
【内覧時に売主がやること】
- 部屋の片付け、清掃
- 購入検討者からの質疑、応答
【部屋の片付け、清掃】
マイホームに入居したまま売り出す場合、部屋の片付けをしておくと良いです。
築年数が経っていて汚れが目立つ場合、部分的なハウスクリーニングも効果的です。
特に水回りをチェックする人は多いので、綺麗にしておくと印象が良くなります。
【高額なハウスクリーニング、リフォームには要注意】
ハウスクリーニングやリフォームを検討している場合、不動産会社へ相談した上で実施することをおすすめします。
中古物件を検討する人は、新しさよりも価格の手頃さを重視することが多いです。
リフォームにお金をかけても売買代金として回収できる保証はないため、売主が費用の全額を負担することになるかもしれません。
昨今はリノベーションをするために、あえて築年数が古い割安な物件を購入する人も増えているため、ハウスクリーニングやリフォームをしなくても良いことがあります。
【購入検討者からの質疑、応答】
内覧当日の案内は不動産会社の営業担当が行いますが、売主から買主へ周辺地域の利便性や物件のメリット・デメリットを伝えてみるのも効果的です。
購入検討者が内覧を希望する理由は、「生活に不便がないか」「今の住居よりも快適に過ごせるか」といった不安を解消するためです。
不動産は大きな買い物のため、物件に魅力を感じていてもなかなか決断できない人も多いでしょう。
購入検討者からすると、実際に住んでいる人の話は説得力があります。買主の背中を押してあげるためにも、質問に答えてあげましょう。
【不動産売却時の流れ】STEP⑤ 条件交渉
不動産売買は、「相対(あいたい)取引」という取引形態です。
売主が一方的に提示した価格や条件で契約が成立するのではなく、当事者間の交渉によって納得した条件で契約が成立します。
ただし、実際に相手方と交渉するのは不動産会社の営業担当者です。営業担当者と相談しつつ、交渉を進めましょう。
場合によっては、買主から値下げを要求されることもありますが、売り出しから長期間経っている場合や売り急いでいる場合、交渉に応じるのも選択肢の一つです。
【不動産売却時の流れ】STEP⑥ 売買契約
当事者が条件に納得できたら、不動産売買契約を締結します。
契約締結の際も、不動産会社の営業担当が書類作成、進行をしてくれるのでお任せしてOKです。
【売買契約の当日にやること】
- 手付金の支払い(買主→売主)
- 仲介手数料の支払い(売主→不動産会社)
- 売買契約の締結(売主・買主)
【手付金の支払い】
手付金とは、不動産売買契約を締結する際に買主から売主へ預ける金銭です。
手付金には複数の意味合いがありますが、一般的には「解約手付」という意味で支払われ、決済が行われる場合は売買代金に充当されます。
解約手付とは、不動産売買契約を締結後に契約解除したい時、買主が支払った金銭を放棄すること、売主が預かった手付金を返還して同額を支払うことで契約解除できるものです。
ただし、解約手付による契約解除は相手方が契約の履行に着手するまでとなっています。
たとえば、買主が売買代金の一部を支払った場合、契約の履行に着手したとみなされて契約解除できません。
【仲介手数料の支払い】
売買契約が成立した場合、成功報酬として売主から不動産会社へ仲介手数料を支払います。
不動産会社の意向によって異なりますが、契約時に半額、決済時に半額支払うケースが一般的となっています。
【不動産売却時の流れ】STEP⑦ 決済・引き渡し
不動産取引は、売買契約の締結と決済・引き渡しが別日であることがほとんどです。
理由は、買主の融資審査や売主のローン完済手続きを行う必要があるためです。
高額な不動産を、現金で一括払いする人は少数派。融資の本審査は売買契約締結後に行うため、契約の締結と決済を同じ日にできません。
また、買主同様、売主も融資を受けて不動産を購入しているケースが多いです。
売買代金でローンを完済予定の場合、買主の決済と売主のローン完済は同じ日に行われます。
その他、売主は不動産を引き渡すための準備、買主は新居へ引っ越すための準備を契約日から引き渡し日までに行う必要があります。
【決済・引き渡し当日にやること】
- 所有権移転登記
- 抵当権抹消登記
- 代金決済
- 固定資産税、都市計画税の精算
【所有権移転登記、抵当権抹消登記】
所有権移転登記は不動産の権利を売主から買主へ移す手続き、抵当権抹消登記は不動産に設定されている抵当権※を外す手続きです。
※抵当権:契約者がローンを返済できなくなった場合、金融機関が不動産を競売にかけるために設定する権利
登記の手続きは売主自身が行うことも可能ですが、一般的には専門家である司法書士へ依頼します。その場合、司法書士報酬という費用がかかります。
【固定資産税、都市計画税の精算】
固定資産税や都市計画税は、毎年1月1日時点での所有者へ1年分の納税義務が課される仕組みです。
不動産の引き渡しが年度の途中で行われても、納税義務者は売主となります。
たとえば、売主が6月に不動産を引き渡す場合でも、7月から12月の納税義務者は売主です。
公平性を保つために、引き渡し日以前を売主、引き渡し日以降を買主として日割り計算で精算する方法が商慣習として行われています。
ただし、精算の有無、精算方法は地域や不動産会社によって異なりますので、不動産会社へ確認しておきましょう。
【ローンの残債と売買代金の差額に注意】
ローンの残債がある場合、不動産に抵当権が設定されているケースがほとんどです。
不動産を売却するためには、ローンを完済して抵当権を外す必要があります。
売買代金でローンを完済できない場合、不足分を自己資金で補う必要があるため、情報収集の段階で資金計画を慎重に行うことが大切です。
不動産売却の決済・引き渡しまでに売主がやること
売却活動は不動産会社が先導してくれますが、売買契約締結から決済・引き渡しまでは売主の仕事が多いです。
金融機関や司法書士との連携が必要なケースや、役所で書類を取得する必要があるなど、限られた時間の中でやるべきことが複数あるため、段取りを確認しておくと良いでしょう。
必要書類の準備
不動産を売却する際、手続きに必要な書類や買主へ引き継ぐ書類など、多くの書類が必要になります。
【所有権移転登記の必要書類について】
登記手続きは、一般的に司法書士へ依頼します。司法書士または不動産会社へ、具体的な必要書類を確認しておきましょう。
【抵当権抹消登記の必要書類について】
抵当権は、金融機関が設定している権利のため融資を受けている金融機関との調整が必要です。
必要書類の中には金融機関へ依頼するものもあるため、早めに対応しておきましょう。
司法書士へ手続きを依頼する場合、併せて司法書士との連携も必要です。
【買主へ引き継ぐ書類について】
買主が所有者として必要な書類や、将来売却する際に必要な書類など、不動産に関する書類をすべて準備しておきましょう。
例:地積測量図、マンションの管理規約、住宅性能評価書など
買主へ引き継ぐ書類は土地、マンション、戸建てなど不動産の種類によって異なります。必要書類が不明な場合、不動産会社へ確認してみてください。
手続きの必要書類・費用一覧
不動産売却時の手続きに必要な書類と費用を以下にまとめました。あくまでも一例ですが、参考にしていただければと思います。
< 登記手続きの必要書類 >
- 登記識別情報または権利証
- 印鑑証明書(発行から3ヶ月以内のもの)
- 住民票
- 固定資産評価額証明書
- 抵当権抹消登記の関連書類
< その他手続きに必要な書類 >
- 実印
- 地積測量図、境界確認書
- 買主へ引き継ぐ書類一式
例:建築確認済証、マンション管理規約など
< 手続きにかかる費用 >
- 登記費用
- 仲介手数料
引き渡しの準備
引き渡し日に所有権移転登記を行うと、不動産の所有者は買主へ移ります。
それまでに荷物を片付けて退去しておく必要があるため、書類の準備と並行して引っ越しも済ませましょう。
不動産を売却した翌年は確定申告を忘れずに!
不動産を売却して利益を得た場合、譲渡所得税の納税義務が生じます。
譲渡所得税は確定申告をして納税するため、手続きを忘れずに行いましょう。
【確定申告の期間】
毎年2月16日から3月15日
確定申告の対象は、毎年1月1日から12月31日に得た所得です。
不動産を売却した場合、翌年の2月16日から3月15日に確定申告をすることになります。
譲渡所得税については以下の記事でも解説しているので、併せてご覧ください。