2022年08月20日
家賃滞納は初動が肝心!リスクへの対策から強制退去までの流れを解説
賃貸経営のリスクの一つに「家賃滞納リスク」があります。
家賃滞納者が出ると、賃料収入がなくなり新規入居者の募集もできないなど、オーナーに経済的損失が生じます。
滞納期間が長引けばさらに損失が大きくなり、法的措置による負担を強いられる場合もあるでしょう。
入居者の家賃滞納が発生した際、初動が肝心です。家賃滞納時に取るべき行動を確認しておくと早期解決に役立ちます。
今回は、入居者が家賃を滞納してから強制退去させるまでの流れや、家賃滞納リスクへの対策などについて解説します。
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目次
家賃滞納から強制退去までの流れ
入居者が家賃を滞納した場合、最終手段として法的措置を取り、強制退去させることが可能です。
しかし、借地借家法は借主の権利を守るために作られているため、借主にとってかなり有利な法律になっています。
そのため、入居者が一度家賃を滞納しただけでは退去させることができません。
家賃滞納者を一方的に退去させるためには、以下の通り順を追って対処する必要があります。
- 家賃滞納が発生・本人に督促
- 連帯保証人へ連絡
- 内容証明郵便を利用した督促
- 任意の明渡請求
- 強制執行の手続き
ここでは、入居者が家賃を滞納してから強制退去させるまでの一般的な流れを解説します。
家賃滞納が発生・本人に督促
家賃滞納が発生したら、できるだけ早く本人に連絡することが大切です。
管理会社に管理委託している場合は、管理会社が入金を管理してくれているので、管理会社から連絡が来る場合があります。
自身で管理している場合は、滞納に早く気が付くためにも入居者からの入金チェックをしっかり行いましょう。
電話や訪問などで督促をし、滞納理由といつまでに支払うのかを確認します。
だいたいは入居者が支払いを忘れていたというケースが多いです。
家賃滞納を早期解消できるように、早い段階で状況を確認し、督促することが大切です。
連帯保証人へ連絡
本人へ滞納分の督促したにも関わらず、払う気がない、もしくは払えないというケースもあります。
本人に督促しても滞納が解消されない場合は、状況に応じて連帯保証人へ連絡する旨を伝えましょう。
連帯保証人には借主と同じように家賃を支払う義務があるため、本人から家賃を回収できない場合は連帯保証人へ請求できます。
連帯保証人に連絡を取ることで、家賃滞納者にプレッシャーがかかり、滞納しなくなる効果もあります。
内容証明郵便を利用した督促
家賃の滞納から1ヶ月以上経過しても回収の目途が立たない場合、内容証明郵便を利用して書面で督促します。
内容証明郵便とは、郵送日時、内容、送付先を郵便局が証明してくれるサービスです。
滞納が長引き法的措置を取る場合、督促を行った事実を証明する必要があります。
万が一のために、内容証明郵便を利用しておきましょう。
貸主が借主に退去して欲しい場合、契約当事者間での信頼関係が損なわれたと認められれば、賃貸借契約の解除が認められます。
一般的に3ヶ月程度の家賃滞納が続き「催告したのに支払われない」という状態を証明できれば、契約解除が認められるケースが多いでしょう。
書面での督促をしても家賃が支払われない場合、期限を定めて「期限内に支払いがなければ賃貸借契約を解除する」旨の通知を出します。
この際も内容証明郵便を利用しましょう。
任意の明渡請求
賃貸借契約が解除されれば、借主が賃貸物件に住む権限がなくなるため、貸主が借主に対して物件の明渡を求めて訴訟提起できます。
物件の明渡に対して、借主が自ら進んで明渡を行えば、裁判や強制執行の手続きをしなくて済みます。
借主の経済状況が困窮している場合、滞納日を調整したり、滞納額を減額したりすると交渉が成立しやすいでしょう。
強制執行で明渡を行う場合、手続きに時間がかかり、数十万円の費用を負担することになります。
そのため、できれば任意の明渡請求で解決できることが望ましいです。
ただし、悪質な滞納者の場合、任意で明け渡すと言いつつ、明け渡すつもりがない人もいます。
中には、任意の明渡の条件として引っ越し代や立ち退き料を請求してくるケースもあるでしょう。
家賃滞納で契約を解除している場合、借主には賃貸物件を使用する権限がないため、貸主が支払いに応じる必要はありません。
滞納者が悪質な場合は、強制執行の手続きを検討しましょう。
強制執行の手続き
賃貸借契約解除後、任意の明渡請求に応じてもらえない場合、裁判所が貸主の明渡請求を認めるかどうかの判決を出します。
裁判所が明渡請求を認めても借主が退去しない場合、強制執行の手続きに進みます。
強制執行の手続きが必要な場合、費用がかかる、明渡までに時間がかかるなど、貸主の負担が大きいため注意が必要です。
また、裁判で判決が出ても、貸主が改めて強制執行の申し立てを行わないと手続きは進みません。
強制執行の手続きは自分で行うこともできますが、専門知識が必要なため弁護士に依頼すると安心です。
退去を求めない場合の法的手段もある
借主の退去を望まず、賃料回収のみを希望する場合、支払督促または少額訴訟という法的手段があります。
支払督促:裁判所から借主に督促状を郵送してもらう法的手段です。
少額訴訟:60万円以下の賃料回収を目的とするための訴訟手続きで、明渡訴訟に比べて短期間で判決が出ます。
ただし、上記はどちらも債権回収を目的としているため、借主に支払い能力があることが前提です。
家賃を滞納された時のNGな督促手段・行動
借主と急に連絡が取れなくなったり、督促しても家賃を回収できなかったりする場合、督促を強化したい気持ちはわかります。
しかし、行き過ぎた督促行為はNGです。
そのような行為は損害賠償で訴えられる可能性があり、明渡請求する際に不利になる原因になるため注意が必要です。
また、管理会社に管理委託している場合は、二重に督促をしてしまう可能性もあるため、基本的には管理会社に任せましょう。
NGな家賃の督促手段
以下の行動は家賃の督促手段としてNGです。
- 早朝、深夜の督促
- 同日内に複数回の督促
- 第三者に滞納がわかってしまう形での督促
例:玄関やポストに督促の張り紙をする、借主の学校や職場に連絡する
- 連帯保証人以外に督促する
滞納者の親族でも、連帯保証人以外への督促はNGです。
請求すること自体は自由ですが、連帯保証人以外に滞納した家賃を支払う義務はありません。
自力救済禁止の原則に違反する行動もNG
自力救済禁止の原則とは、貸主が自分の権利を行使して法的な措置を取らずに目的を果たそうとすることを原則禁止としていることです。
例えば、家賃を滞納されたからと言って、法的手続きを取らずに勝手に鍵を交換して借主を締め出したり、私物を処分して強制的に追い出したりすることは禁止されています。
賃貸借契約書に特約として「滞納時にそのような行為が許される」旨の記載があった場合でも、一般的には認められません。
家賃滞納リスクへの対策
家賃滞納リスクへの対策として、入居審査の強化や保証会社の利用などがあります。
入居審査を強化する
家賃滞納リスクへの対策として大切なことは、家賃を滞納するリスクが高い人を入居させないことです。
以下のように、支払い能力や個人として問題がないか確認することが大切です。
- 賃料に見合う支払い能力があるのか
- 賃料だけでなく引っ越し費用や初期費用を支払っても家賃を支払えるか
- 勤続年数はどれくらいか
- 以前の住宅は短期間で退去していないか
管理会社に管理委託する場合、しっかりと入居審査してくれるかが重要になります。管理会社がどのように入居審査を行うのか、管理委託契約を締結する前に確認しておきましょう。
また、書類審査だけでは問題のある入居者かどうか判断することが難しいでしょう。
対面やビデオ通話などで審査を行えば、後のトラブル防止につながります。
不安があれば入居者に連帯保証人をつける
入居審査を厳しくしすぎると、空室が長期化する恐れがあります。
少しでも入居者の支払い能力に不安があれば、入居者と同等の支払い義務がある連帯保証人をつけてもらうことも大切です。
特に、外国人留学生や生活保護受給者などは、家賃を滞納するリスクが高くなります。
連帯保証人には、安定した収入があり、きちんと連絡が取れる人、可能であれば家族が望ましいでしょう。
自動引き落とし・クレカ払いを利用する
入居者から指定口座へ振込をする方法では、支払い忘れや支払いを後回しにされる可能性があります。
自動引き落としやクレカ払いを利用することで、そのようなリスクを防げます。
特に、クレカ払いは残高が足りなくても引き落としできるため安心です。
家賃保証会社を利用する
近年は、親が高齢で兄弟姉妹がいないなど、連帯保証人をつけられないケースが増えています。
家賃保証会社を利用することで、そのような人でも入居審査を受けられます。
家賃保証会社は家賃の滞納が発生した場合、滞納した入居者に代わって代位弁済してくれる会社です。
代位弁済後は家賃保証会社から入居者へ督促をする仕組みのため、督促をする手間もなくなるでしょう。
また、家賃滞納があっても収入を確保できるため、貸主にとってメリットが大きくなります。
まとめ
家賃の滞納は、賃貸経営をする上で誰にでも起こり得るリスクです。
実際に滞納が発生してからでは対応が遅くなってしまうので、事前に対応方法を確認しておきましょう。
また、今回は家賃の滞納リスクを中心に解説しましたが、不動産投資には他にもさまざまなリスクがあります。
以下の記事ではリスクと対策を詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。