2023年01月10日
サブリースとは?失敗につながりやすい5つの問題点【失敗事例あり】
大吉の山本です!
アパート建築企業で「30年一括借り上げ!家賃保証付」といったCM見たことありませんか。
「何十年も家賃を保証してくれるサブリースっておいしい!」と思ったあなた、
ぶっちゃけサブリースは、サブリースを提供する不動産業者側がもうかるしくみになっています。
今回、サブリースがいまいちわからないよという人のために詳しく解説したいと思います。
目次
サブリースのメリットは一定額の収入の保証があること
サブリースとは不動産会社が、お部屋を第三者に転貸(又貸し)する目的で借り上げる仕組みのことをいいます
よくみられるのは、
「新築アパートを土地に建て、その建築会社が一括借り上げ10年~30年などの期間家賃を保証する」
といった、アパート建築請負契約とサブリース契約がセットになったものですね。
一般的な保証金額は、設定家賃の80%~90% が目安です。
サブリースの一番のメリットは、「空室でも一定額の家賃が入ってくる」ことです。
特に毎月のローンの返済がある人にとっては、空室が続いたりや滞納などによる収入減に悩まされることがないという面では賃貸経営をする上で大きな安心材料ではないでしょうか。
サブリースは不動産会社がもうかるしくみ
サブリースはオーナーにとって「空室でも一定額の家賃が入る」ことが最大のメリットです。
しかし一方で、サブリースのほとんどの契約がサブリース業者にとってメリットが高い内容になっています。
空室になったら保証するリスクを背負う以上、当然といえば当然ですが・・
「保証されるから安心」という理由だけで契約するには、オーナーにとってかなり不利な内容です。
サブリース契約をする前に一度よく契約書の内容をみて判断してください。
2章ではサブリースにおけるデメリットや注意点について解説していきたいと思います。
サブリースはオーナー側からすると収益性が乏しい理由5つ
空室リスクを背負ってもらう分、通常よりも収益性は低くなることが多いです。理由は5つあります。
- 設定家賃は相場より低い(決めやすくするため)
- 礼金と更新料はサブリース業者(不動産管理会社)の収入になる
- 保証免責期間を設けている場合がある(募集開始数か月など)
- 設定家賃は何年か毎に見直しがある
- リフォームを他社に頼めない&料金も高額
① 設定家賃は相場より低い
サブリース契約において、保証の金額にかかわる「設定家賃」は相場より低い場合が多いです。
相場より安く募集して決まりやすくすることで、空室を避けるためです。
② 礼金と更新料はサブリース業者の収入になる
礼金と更新料は、オーナーではなくサブリース業者の収入になります。
サブリースにおいて貸主はあくまでもサブリース業者だからです。
契約内容によって違うケースもありますが、多くの場合は礼金や更新料は受け取れない内容になっています。
③ 保証免責期間を設けている場合がある(募集開始数か月など)
サブリース契約内容によっては、入居者が退去した数か月は保証を免責とすると書かれている場合があるのでそこも見逃さないようにしましょう。
④ 設定家賃は何年か毎に見直しがある
「30年の一括借り上げ家賃保証」を売りの某大手アパート建築会社の宣伝をよく見かけますが、
当初の設定家賃が30年ずっと保証され続けるわけではありません。
契約書をよ~く見てみると「○年毎に見直しがある」という文言が書かれてます。
10万円の家賃を7万円に下げてくれという可能性もゼロではないわけです。
「そんな見直し拒否したらいいんじゃないの?」と思いますよね。
それが、原則値下げを拒否することはかなり難しいんです。(2-2で詳しく説明します)
一般的に、建物が古くなれば家賃も下がる傾向にあるので、見直し自体は悪いことではありません。
問題なのは、不動産の販売時に家賃の値下がりをシミュレーションに加味していないことが多いことです。
何年も後になって「当初の収支計画とまったく違う」ということが起こってしまいます。
⑤ リフォームを他社に頼めない&料金も高額
サブリース契約の中には、リフォームを自社でやることを条件にしているケースも多くあります。
他社で頼むことができないので、相見積もりもできません。結果、通常より高いリフォーム代がかかってしまう可能性が高いです。
〇 ポイント 〇
収支シミュレーションは、契約書に記載されている年度毎の見直し、保証の免責期間中の無収入も考慮しましょう。
営業マンの賃料は下がりにくいというようなトークも信じてはいけません。
また、可能であれば契約書に「リフォームは他社にまかせてもよい」文言を入れてもらうといいです。
サブリースの契約は、業者にとってきわめて有利な内容である
サブリース契約をして何年もたたないうちに、大幅な家賃減額を提示され、拒否したらサブリースを解約された・・。
数十年の家賃を保証してくれるはずが、その物件の入居付けがむずかしくなると簡単に解約されてしまうケースがあります。
「それは契約違反だから認められないのでは?」
しかし、サブリース契約は「借地借家法」が適用されためにそのような理不尽がまかり通ってしまうんです。
「借地借家法」では、契約の内容にかかわらず、借主側(サブリース業者)は家賃の減額請求や解約が可能です。
※サブリースの契約上ではオーナーは「貸主」・サブリース業者は「借主」
一方的に解約しようが、借主が守られる「借地借家法」によってサブリース業者が守られる形になります。
やっかいなのが、貸主であるオーナーが解約をしたいパターン。
契約書の内容に、中途解約事項を認める文言があれば、6か月前などで解約通知を出す(もしくは6か月分の管理手数料を払う)ことによって解約できることがあります。
もしそのような文言がなければ、貸主であるオーナー側が一方的に解約をすることはできません。
「借地借家法」で、解約するには、以下の2通りです。
① 貸主と借主双方が合意している場合
② 正当な事由が裁判所で認められた場合
①は解約OKと先方が合意してくれれば即解約できますが、でもよっぽど良心的な会社じゃなかければ難しいです。
となると、②の「正当事由を裁判所に認めてもらう」
ですが、この場合の正当事由は、
- 建物が古すぎてとても人に貸せない状態である
- オーナーや近い身内が建物に住むことになった
など、相当な理由がない限り認められません。
さらに実際には上記の理由に立ち退き料を払うことでようやく認められるケースが多く、
立ち退き料の金額も高額になり、裁判も長期化する傾向にあるようです。
では、それ相応の「正当事由」がない場合どうするか。
違約金を支払うことで解約できます。契約によっては家賃6か月相当分となっていれば、月30万円の家賃なら、180万円の違約金になります・・。
このようにサブリース契約は安心のかわりに、いったん解約となると手間も費用もかかるケースもあることを心得て契約にのぞむ必要があります。
〇 ポイント 〇
契約内容で、解約事項はとくに慎重に確認しましょう。
かならず契約書に「6か月前に解約通知を出すことで解約ができる」旨の中途解約事項を認める記載をいれてもらいましょう。
サブリースは入居状態(誰に・いくらで貸しているのか)がわからない
サブリースの場合、業者が第三者に転貸するためオーナーは入居者がどのような人なのか、いくらの家賃で貸しているかわかりません。
情報開示を求めても個人情報だからとうけつけてくれないケースもあります。
業者としては、空室にさせたくないため、通常よりハードルを低くして貸し出してる可能性もあります。
前章で、サブリース契約を解約して、蓋をあけてみると問題がある入居者をいれてしまっていたなんてこともあるそうです。また相場より異様に家賃が低かったとこともあります。
そのような場合でも、よっぽどの理由がなければ入居者を追い出すことはできません。(※前章参考)
サブリース業者が倒産する可能性
女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」運営会社のスマートデイズの経営破綻は、不健全なサブリース事業が原因の一つです。
2017年10月ころからオーナーに賃料の大幅な減額を要求しはじめ、2018年1月ごろには保証家賃の支払いが停止するようになりました。
空室リスクを十分に考慮されていないのに、高い家賃設定で保証することを売り文句にしていました。
しかし案の定空室が埋まらず保証金がかさみ経営を逼迫、最終的にはシェアハウスを販売した利益で補填していくという、まったくビジネスモデルとしてなりたつものではなかったようです。
もちろん健全なサブリースを行っている不動産会社も多くあります。
保証してくれると安心するのではなく、サブリース業者の立場になって、保証をしてもビジネスがなりたつのかどうかこちら側も見極めることも重要です。
〇 ポイント 〇
サブリース業者が破綻してしまっては意味がありません。
設定家賃が、相場家賃と比べて相応なのか。ビジネスモデルとしてなりたつのか自分自身でも考えましょう。
サブリース契約の物件は敬遠され、売却しにくいこともある
サブリース契約が解除できないがために、利回りが低いケースが多い・・
また、サブリース業者によっては実際に貸している賃料の開示を拒むことがあります。
実際の利回りや契約状況がわからず、買う方からすればリスクが高いと判断され、売れにくくなってしまいます。
サブリースの健全化を図るためガイドラインが制定
そういったトラブルを背景に、令和2年12月からサブリースに係る規制がはじまりました。
これに先立ち国交省がサブリース事業適正化のガイドラインを公表しています。
今回の規制では、勧誘者が誰なのか、何をもって誇大広告や不当勧誘なのかを明確にしています。
違反したものには業務停止命令や罰金などの処分をうけることにより、今後は悪質なサブリース契約は少なくなっていくことを期待したいです。
ただ今回の規制は「勧誘時」を焦点にしぼっていて「解約」に関しては言及していません。
解約に関しては依然として難しいので、中途解約ができる旨の契約書かどうかしっかり確認するといいと思います。
国土交通省「サブリース事業適正化ガイドラインの策定」について
「サブリース保証だから安心」考えることを放棄すると失敗する
かぼちゃの馬車などのスマートデイズなどの問題は、もちろん不動産会社が悪いです。
厳しい言い方にはなりますが、不動産賃貸事業をしようとする方が自ら調査をせず、その営業マンの言うことをまるまる鵜呑みにして契約した方も全面的な被害者といえるのかということにも僕はは正直を疑問を感じざるを得ません。
・その不動産があるエリアの需給動向
・近隣の不動産との競争力はどうなのか、提示される家賃は相場にあっているか
・サブリースがなくても、入居者は決まりやすい物件なのか
・サブリース会社の信用や経営状況はどうなのか
投資をする上で、完璧な投資商品はありません。何かしらリスクがあるはずです。
セールストークをうのみにせず、常に最悪のケースを考える、契約書の中身をしっかり確認する
サブリースはあくまで賃貸経営をする上での安心材料で、自分自身でもしっかり知識をつけた上で納得して契約してもらいたいと思います。
【結論】不動産投資初心者にサブリースはおすすめしない
不動産賃貸業は家賃収入を受け取るのが目的です。
サブリースは家賃収入の賃貸経営安定にはつながりますが、そもそもの利益が減額されてしまいます。
オーナーが物件から遠方に住んでいる、解約リスクがそこまで高くなく、メリットが確保できるような条件でなければ、サブリースはオススメしません。
不動産投資をしっかり勉強して、物件を選定し、リスク対策を講じていれば、保証がなくても入居者はつきます。
100%家賃が保証される可能性もないですし、倒産するリスクがあるサブリースに頼るより自分で力をつけたほうがはるかにリスクを減らせます。
不動産投資初心者の方でこれから勉強される方はこちらもぜひ参考にしてみてくださいね♪