2023年04月11日
不動産経営で得られる年収と手取りを解説!状況別シミュレーション付
ここでは不動産投資を検討している方向けに、アパート・マンション経営の年収や手取りの考え方について解説します。
不動産経営を安定的なものにするためには、手元に残るお金がどれだけあるかがキモです。
なぜ重要なのか、手取りが減る原因についても解説しました。
最後の章では4つのケース別に、収支シミュレーションも行うので、ぜひチェックしてみてください!
目次
不動産投資(アパート経営など)の年収はいくら?
アパート・マンション経営といっても、物件の規模や条件などによって年収が大きく異なります。
「どんな物件を購入したか」など、個別の条件によって異なるため一概には言えません。
不動産投資で大きな失敗をしないためには、「年収が決まる仕組み」について理解を深めておくことが大切です。
不動産投資の年収は「物件価格と利回り」から計算できる
不動産投資の収入の柱は「家賃収入」です。
年収を確認したい方は、家賃収入をチェックしましょう。
また、家賃収入の目安は物件価格と利回りが分かれば計算できます。
利回りとは、物件の収益性を示す指標の一つです。
利回りが高いほど収益性が高いと判断され、「どこへ投資するか」検討する際に役立ちます。
利回りから年収を計算する場合、物件価格×利回りで計算します。
例えば、物件価格1億円・利回り5%の場合、年収の目安は500万円です(1億円×5%)。
安定的な不動産経営で重要なのは、年収ではなく「手取り」
アパート・マンション経営では、年収以上に手取りが重要です。
投資先を検討する際は「手元にいくら残るか」を最も重視すべきポイントです。
家賃収入から経費や税金を控除した金額が、最終的な手取りになります。
最終的な手取り=家賃収入-(経費+税金)
不動産投資にかかる経費や税金の一例を以下にまとめました。
【経費・税金の具体例】
・修繕費
・損害保険料
・管理委託費
・水道光熱費
・減価償却費
・所得税、住民税
・固定資産税
不動産投資の利回りには、「表面利回り」と「実質利回り」があります。
・表面利回り:経費を考慮せずに計算する
・実質利回り:経費を考慮して計算する
マンションやアパートの物件広告に記載されている利回りの多くは、「表面利回り」です。
表面利回りは経費を考慮していないため、実質利回りよりも高くなっているので気を付けましょう。
資金計画時はリスクも考慮する
不動産投資で大きな失敗をしないために、リスクを考慮することも大切です。
例えば、空室で家賃収入を得られない期間も、ローンの返済を続けなければなりません。
そのような期間の返済原資をどのように賄うか、事前に検討しておくことが大切です。
物件を購入する前に、必ず資金計画を立てましょう。
不動産投資に潜んでいる一般的なリスクを以下にまとめました。
不動産投資の手取りが減る原因
不動産投資の年収と手取りの関係について、もう少し詳しく解説します。
年収が高くても、手取りが少ないと余剰資金を貯められず、リスクに備えられません。
ここでは、「どのようなときに手取りが減るか」について解説します。
ローンの返済負担が大きい
不動産投資において、ローンの組み方は重要な要素の一つです。
物件の条件が良くても、ローンの返済負担が大きいと、手元にお金が残りません。
物件の利回りとローン金利の差(イールドギャップ)を意識して、資金計画を立てましょう。
また、変動金利の場合、金利上昇によって返済が苦しくなるリスクがあります。
予算を組む際は、金利上昇リスクを見込んでローンを組むことをおすすめします。
建物の老朽化が進んでいる
建物の老朽化が進んでいる物件は、修繕費がかかるため支出が増えます。
相場よりも割安な物件は利回りが高く魅力的ですが、表面上では分からない老朽化リスクが潜んでいる可能性がある点にご注意ください。
不動産投資の利回りは「家賃収入÷物件価格×100」で計算します。
計算上、物件価格が割安であれば、利回りが高くなる仕組みです。
「利回りが高い=儲かる物件」とは一概に言えないため、利回りだけで判断することはおすすめできません。
税金対策をしていない
アパート・マンション経営で利益を得ると、利益に対して税金(所得税・住民税)がかかります。
不動産投資にかかる税金の課税対象は「不動産所得」です。
不動産所得は「収入-経費」で計算するため、できる限り多くの経費を計上して所得を減らすと節税につながります。
節税には会計の知識が必要なため、勉強しておくとよいでしょう。
賃貸需要がない物件を購入した
不動産投資の収入の柱は「家賃収入」ですから、継続的に入居者に住んでもらえる物件でなければなりません。
新築であったり、入居時に満室であったりすると魅力的な物件に見えるでしょう。
しかし、そのような物件でも、周辺環境の変化によって入居付けが難しくなる可能性もあります。
購入時点だけでなく、中長期の目線で賃貸需要があるかどうかを見極めることが大切です。
【アパート経営の収支シュミレーション】年収873万円の手取りはいくら?
ここでは、アパート経営の年収・手取りについて具体的に解説するために、以下4つの観点から収支シミュレーションを行います。
・満室の場合
・空室がある場合
・ローン金利が2倍になった場合
・借入期間が半分になった場合
シミュレーション結果のポイントは、以下の通りです。
空室やローン条件によって収支がどのように変わるのか、チェックしてみてください。
・下記条件の場合、満室時の年収は873.6万円、手取りは272.2万円
・5部屋の空室期間が1年続くと、約40万円の赤字になる
・ローン金利が2倍になると、手取りが約153万円減る
・ローンの借入期間が半分になると約21万円の赤字になる
【物件の条件】
木造アパート(2階建て・一棟)
築年数:7年
物件価格:1億円(表面利回り:約8.73%)
戸数:1R×14戸
【収支の条件】
家賃収入:月72.8万円、年収873.6万円
一戸あたりの賃料:5.2万円
経費:174.7万円(家賃収入× 20%と仮定)
※千円未満四捨五入
※簡略化のため、税金は考慮していません
【ローンの条件】
借入金:9000万円(自己資金:1000万円)
借入期間:30年
金利:2.5%
返済額:年間426.7万円(月 35.5万円)
返済総額:1億2802万円
※簡略化のため、細かい数字を微調整しています
満室の場合、手取りは272万円
物件価格1億円・利回り8.73%の場合、年収は873万円です。
年収873万円=1億円×8.73%
※計算の都合上、シミュレーションでは年収873.6万円へ微調整しています。
仮に、経費が174.7万円かかり、ローン返済が年間426.7万円だった場合、手取りは272.2万円です。
経費174.7万円※=873.6万円×20%
手取り272.2万円=家賃収入873.6万円−(経費174.7万円+ローン426.7万円)
※千円未満四捨五入
5部屋の空室が1年続くと、約40万円の赤字
満室時の手取りは272.2万円ですが、実際には空室が生じるリスクがあります。
シミュレーションの条件では1戸あたりの賃料5.2万円のため、1部屋が1年間空室だった場合の損失は62.4万円です。
一戸あたりの損失62.4万円=賃料5.2万円× 12ヶ月
※ 1年間空室だった場合
空室の戸数が増えるほど1年間の損失が大きくなり、5部屋の空室が1年続くと約40万円の赤字になります。
ローン金利が2倍になると、手取りが約153万円減る
ローン金利は、融資先の金融機関や個人の属性などによって変動します。
シミュレーションの条件では、金利2.5%でした。仮に金利5%だった場合は、返済額の負担増加によって手取りが約153万円減ります。
【ローンの条件】
借入金9,000万円
金利5%または2.5
借入期間30年
ローン返済期間が半分になると、約21万円の赤字
ローン金利だけでなく、返済期間によっても手取りが変動します。
ローン金利2.5%のままで借入期間が30年から15年へ短縮された場合、年間返済額の増加によって21.1万円の赤字になりました。
【ローンの条件】
借入金9,000万円
金利2.5%
借入期間15年または30年
ただし、返済期間が短縮されれば金利の負担が減り、返済総額が少なくなります。
上記のシミュレーションでは、借入期間が15年になると返済総額が2000万円の負担軽減となりました。
ローン金利については低い方が借り手に有利ですが、返済期間が短い=NGという訳ではありません。
収支のバランスを意識することが大切です。
アパート・マンション経営の資金計画は慎重に
アパート・マンション経営のように大規模な物件に投資する場合、失敗した時の損失も大きくなります。
表面上の年収に捉われず、リスクを考慮した上で手取りを計算してみるなど、慎重にシミュレーションしておくことをおすすめします。
とはいえ、正しい資金計画には専門知識や経験が必要です。
信頼できる不動産会社へ相談し、リスクに備えましょう。