2020年04月03日
アパート経営で節税ってできるの?税金対策や効果、相続税対策などを解説
近年、不動産投資として人気の高いアパート経営を始める人が増えています。
アパート経営を現在している人や検討している人の中には「もしかしたら、税金対策や節税につながる方法があるのでは?」と考えている人もいるでしょう。
この記事では、アパート経営時の税金対策や効果、アパート経営でできる相続税対策などについて解説します。
仕組みをしっかり理解して、賢くアパート経営を始めましょう。
アパート経営に必要な経費にはどんなものがあるの?
アパートやマンションの経営は事業です。
そのため、必ず必要経費が発生します。
必要経費として認められたものは控除の対象になり、節税に繋がります。
ただし必要経費と認められるものは、確定申告や税務調査で厳しくチェックされています。
判断が難しい場合は、税理士などの専門家に必ず相談してください。
ここでは、アパート経営に必要な経費について説明します。
主に上げられる経費は以下の通りです。
固定資産税
固定資産税は、土地や建物を所有することで発生する税金です。
損害保険料
火災保険や地震保険など、所有している建物が加入している損害保険にかかる費用です。
減価償却
価値が減少された固定資産を取得した際に、建物本体と建物設備の耐用年数に応じて、費用計上することを減価償却といいます。
減価償却費は、最も額が大きい必要経費です。
土地は対象ではありません。
修繕費
修繕費は水回りのリフォーム、畳・障子など取替え、外壁の塗り替えなど建物の維持管理にかかる費用です。
増築の場合は、新しい資産になるので減価償却になります。
借入金利子
土地購入分の利息は計上できませんが、アパートやマンションを購入した際にローンで借り入れた分の利息は経費計上できます。
税金関係
不動産取得税、事業税、印紙税、登録免許税など、アパートやマンションを所有することで発生する税金も経費に計上することができます。
管理費
入居者募集や管理人、清掃業者などの物件管理にかかる費用を管理費として計上できます。
交通費
アパート経営に関わるセミナーに参加したり、物件を見に行ったりした際にかかったお金は交通費として計上できます。
車で移動した場合は、ガソリン代、駐車場代、高速料金、車検費用、自動車保険、自動車税なども必要経費に含まれます。
消耗品など
アパート経営や管理に必要であれば、デジカメ、プリンター、パソコンなどの消耗品も必要経費として計上できます。
消耗品費の他に、通信費、接待交際費、新聞図書費なども計上できます。
【大吉不動産の見解】
必要経費を計上するのに、アパート経営で必要な経費で使用したものなのかプライベートで使用したものか線引きが難しいものもあります。
そこを明確にしておかなければ、申告時に手間がかかるだけでなく経費計上が少なくなってしまう場合もあるのです。
経費であることがわかるよう「目的・関連性・金額」を明確にしておきましょう。
確定申告で経費計上!アパート経営の所得税は節税できる!
アパート経営で得られた所得にかかる所得税が節税できるかどうか気になる人も多いでしょう。
初心者の人でも比較的始めやすい投資事業ですが、確定申告などは実際にどうすればいいのかなど不安も残ります。
ここでは、所得税を抑えるポイントや、確定申告で経費計上ができるかなどについて詳しく説明します。
所得税の支払額を軽減できる!3つのポイント!
国税庁のサイトでは、不動産所得は「総収入金額ー必要経費=不動産所得の金額」と定義されています。
不動産所得とは別に給与所得などの所得がある場合は、不動産所得の金額と合算して算出します。
所得税を節税するためには、以下の3つのポイントをしっかり意識しましょう。
目次
ポイント1.しっかり経費を計上させる
アパート経営にかかる費用を漏れなく計上させることで、所得税の支払額を抑えることが可能です。
所得税は累進課税なので、所得金額が多いほど税率が上がってしまいます。
必要経費をしっかり計上して、所得軽減することで所得税が抑えられるのです。
既に源泉徴収で所得税を納めた場合でも、確定申告をすることで所得税の還付を受けられることがあります。
ポイント2.確定申告をして、損益通算を行う
不動産所得において、赤字と黒字の所得を通算して課税所得を計算することを損益通算といいます。
不動産所得で赤字になった場合は、ほかの一時所得や給与所得などの所得と損益通算を行って赤字と黒字を相殺し、合計所得を軽減させることができます。
損益通算による節税効果は確定申告で得られるものです。
そのため個人事業主だけでなく副業として不動産投資をしているビジネスマンやサラリーマンにとって、確定申告は非常に重要なものとなります。
ポイント3.所得税を抑えれれば住民税も節税できる
住民税は所得税の所得額をもとに算出されるので、経費計上をしっかり行ったり、確定申告をし他の所得を損益通算したりすれば、所得税を抑えることができ、結果的に住民税も節税できることになります。
相続税対策としてアパート経営はおすすめ?その理由とは?
相続税対策として、一般的にアパート経営を始めとする不動産投資や不動産経営はおすすめだといわれています。
ここでは、不動産経営のなかでもアパート経営が相続税対策に有効であるといわれている理由について解説します。
注意点も紹介するので、これからアパート経営を考えている人はぜひ参考にしてみてください。
相続税対策としておすすめの理由
相続税の算出をする際、まずは評価額を算出します。
現金や預金、株などの評価額は時価と同等になりますが、不動産や土地は取引価格よりも低く評価されるのです。
よって、相続税対策に繋がります。
さらに、アパート経営は「郊外にも需要がある」「ローコストで建てられる」「マンション投資より利回りが良い」などの理由があるため、相続税対策の不動産経営としておすすめです。
では、不動産経営が相続税対策としてどのように有効なのか詳しく理由を紹介します。
平成27年から上がり続ける相続税
国税庁が発表した平成29年版相続税申告状況についての報告では、相続税改正と基礎控除額引き下げが実施された平成26~27年にかけて、大幅な課税割合と相続税額の増加が見られました。
引き下げ後の平成27~29年にかけては毎年微増ではあるものの、年々課税割合と相続税額が上がり続けていることが分かります。
つまり、相続税対策をしっかりと行うことが節税に繋がるのです。
不動産のほうが評価額が低い
相続する場合に土地や建物などの不動産は現金より評価額が割安で計算されます。
さらにアパートなどの不動産は、購入時の価格より低い評価額で判断されます。
現金のまま相続するよりも、不動産として相続したほうが節税効果が望めます。
- 土地の評価額について
土地の評価額は複数の評価方法がありますが、相続の場合は1㎡ごとの路線価で決められます。
路線価は国税庁が毎年8月頃に発表していますが、評価額はおおよそ取得価格の80%程度と考えられます。
- 建物の評価額について
建物の評価額の算出は、固定資産税評価額をそのまま適用します。
固定資産税評価額は建築費の60~70%ほどになります。
土地のみよりも土地+建物として相続した方が、相続税は抑えられる可能性があります。
- 小規模住宅用地の減額特例
小規模住宅用地の減額特例とは、亡くなった人が土地や事業に使っていた土地を一定の条件を満たすことで80%または50%評価額を減額する制度です。
そのため条件はありますが、現金の相続よりもはるかに相続税を安くすることができるのです。
用途によって特例が認められる面積や割合が異なるため確認が必要となります。
法人化にすることがおすすめ
法人化するとアパートは法人所有となるので、相続税の計算に含まれません。
アパート経営をしながら相続税対策をしたい方は、法人化することをおすすめします。
不動産オーナーになれば、不動産収入を身内に給与や役員報酬として分散することができ、所得税・贈与税の対策になります。
相続税対策するときの注意点
現金で相続するよりも、土地建物として相続する方が節税には効果的です。
しかし、アパート経営は普通の相続ではなく、継続的に「経営」「投資」をしていかなければいけません。
場合によっては赤字が出るリスクもあります。
ここでは、相続税対策をするときに注意したいポイントを紹介します。
節税のためだけと思わず、事業として取り組む
アパート経営は軌道に乗れば、安定した家賃収入を得ることができます。
しかし、節税だけ意識するあまり、経営をおろそかにすれば収益が得られずいずれ破綻してしまうでしょう。
相続税を抑えられたとしても、固定資産税や所得税に加えて維持管理費用などのコストがかかります。
自分が経営者であることを自覚し、経営に力を入れて事業として取り組んでいく心構えを持つことが大切です。
利回りについて理解する
利回りについて理解しておくことも大切です。
利回りには主に「表面利回り」「実質利回り」があります。
- 表面利回りとは
物件価格に対して、どのくらい収益を得られるか表面的な数値のことをいいます。
アパートの維持費などコストは含まれていません。
- 実質利回りとは
アパート経営にかかる維持費・管理費などコストも考慮した実質的な数値のことをいいます。
初期費用に修繕費などは含まれますが、築年数が経つと割合が高くなります。
定期的に利回りが下がっていないか確認するようにしてください。
アパート経営には3つのリスクがあることも覚えておく
アパート経営は投資事業です。
そのため、経営がうまくいかなければ存続不可能になります。
相続税の節税や安定した家賃収入が見込める一方で、当然リスクも隣り合わせで存在しています。
- 入居者数が見込めないときもある
アパート経営には空室のリスクがあります。
入居者が決まらず空室率が高くなると、利回りも悪くなってしまうのです。
最悪の場合赤字が出る可能性もあります。
地域のニーズや、立地環境、社会情勢なども考慮した上でアパート経営を始めましょう。 - 修繕費、管理費が必要となる
建物が築年数の経過につれて劣化していくことは避けられません。
入居者を集めるために定期的に修繕・管理していく費用は必要不可欠です。
資金計画は慎重に行いましょう。 - 火災、地震など自然災害のリスクがある
火災や地震などの自然災害で、自己資産であるアパートを一夜で失う可能性もあります。
保険料は発生しますが、火災保険・地震保険には必ず加入しましょう。
サラリーマンがアパート経営する際の税金と節税対策とは?
サラリーマンとして給与を得ている人が、アパート経営をはじめるケースも増えてきています。
ここでは、サラリーマンがアパート経営する際にかかる税金と、節税対策について紹介します。
年末調整で払いすぎたお金が戻ってくることもあるので、経営を始める前にしっかりとした知識を身につけておきましょう。
給料から経費計上ができる
経営にかかった費用を賃貸収入から控除すると、税務上は赤字になることもあります。
とくに、土地や建物を購入した初年度はさまざまな費用がかかるため、収支が赤字になりやすいです。
こうした場合、アパート経営には税金がかかりません。
さらに赤字があった場合は損益通算の観点から給料で赤字分を相殺するため、勤め先の会社から出た給料から差し引いた額に税金が発生します。
総所得が下がれば、課税される税金の額も低くなるため、不動産投資をすれば節税につながるといわれています。
家賃収入で年収がアップ
個人事業主として青色確定申告をすることで、払いすぎた税金が最大65万円まで戻ってくる仕組みがあります。
さらに投資事業として多くの収益を上げることができるようになれば、赤字としてではなく家賃収入の利益で年収をアップさせることが期待できます。
アパート経営を成功させ、家賃収入を増やすためには空室が出ないようにしたり、維持管理を徹底したりすることが大切です。
アパート経営を法人化するメリット・デメリットとは?
アパート経営を法人化することによって、得られるメリットもあれば、デメリットもあります。
ここでは、事業としてアパート経営を法人化することで生じるメリット・デメリットについて、それぞれ詳しく解説します。
法人化を検討している人は、是非参考にしてみてください。
法人化する2つのメリット
平成18年に始まった新しい会社法により、法人化は比較的誰でも容易にできるようになりました。
法人化するということは、会社を経営するということです。
取引先や金融機関でも、一般的に信用度が向上し、入居者にも安心感や信頼感を与えることができるでしょう。
法人化することで他にも2つメリットがあるので、詳しく紹介します。
法人化にし、報酬を受け取ることで所得税・住民税の節税になる
法人化することの最大のメリットは、報酬として利益を受け取ることで所得税・住民税を節税できるところです。
アパート経営による所得をすべて役員報酬として支給することで、会社の所得が0円になり法人税が課税されません。
役員報酬に所得税はかかりますが、給料所得税控除が差し引かれた報酬になるので不動産所得よりも給与所得の方が税金上、節税になります。
また、家族を役員にすると役員報酬を分散させることができるようになり、それぞれが給与所得税控除を受けられるのでさらに節税効果が高まります。
経費の幅が広がる
法人化して役員の定期保険や医療保険に会社で加入できたり、倒産防止共済に加入できたりと経費として計上できるものの幅が広がります。
ただし保険金が入った場合は会社の収益になり課税対象になるので、修繕など、高額な経費を計上できるタイミングに合わせて保険を解約するなどの対応が必要です。
法人化する2つのデメリット
ここでは、法人化することで発生する2つのデメリットについて説明します。
設立費用が必要となる
会社を設立して法人化するためには、設立費用が必要になります。
会社の目的や商号、本店所在地などの根底規則を記載した「定款」を作成する必要があります。
株式会社の場合、公証人の認証が必要となり手数料が発生します。
さらに設立登記のための資本金額に応じた登録免許税が必要です。
手続きを司法書士にお願いする際には、報酬を支払う必要もあります。
法人化する際には設立費用がかかることも、念頭に置いておきましょう。
帳簿の記帳、もしくは税理士への依頼が必要となる
不動産賃貸業の場合は、個人経営でも会社経営でも帳簿を記帳することが義務付けられています。
税金申告時は帳簿をもとに所得と税金を計算するので、大変重要なものになります。
また、法人化した不動産賃貸業では「白色申告」か「青色申告」で法人税を申告します。
白色申告は簡易的ですが、青色申告は記帳が大変である一方で特別控除を受けられる魅力があります。
しかし、法人化している場合は個人の所得税申告と比べて必要な帳簿の記載事項が多く、内容も詳細に要求されます。
必要な帳簿の記帳は以下の通りです。
- 現金出納帳
- 売掛金
- 買掛金
- 経費明細書
- 固定資産台帳
会社として法人化している場合はどうしても管理が難しくなるので、税理士などに依頼することが一般的です。
その際は当然費用も発生します。
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節税をするためにアパート経営をすることはおすすめしません。節税のために赤字経営を続けていては次回からの融資が困難になります。投資として利益をあげることを考えましょう。
アパート経営などの不動産投資をすることは節税につながります。
確定申告で赤字を計上することで払いすぎた税金が戻ってくることはありますが、いつまでも赤字経営は続けられません。
節税のために赤字経営をしていると、経営上利益を出していないことになるので、融資を受けることが困難になることもあります。
アパート経営はあくまで投資であり、ビジネスです。
成功させるためには利益を出し、多くの収益を手元に残せるように考えましょう。
まとめ
- アパート経営にはさまざまな経費がかかるが、収入から必要経費を差し引き所得額を圧縮することで節税効果を高められる
- アパート経営による相続税対策も可能だが、あくまで事業として取り組む意識が大切
- 法人化は比較的容易にできるが、管理費用や帳簿管理などのコスト・労力がかかる
- アパート経営は「節税」のためではなく「事業」「投資」として利益を出す努力が必要