大吉不動産

お気軽にご相談・
お問合せください

2023年06月08日

マンションの贈与税はいくらかかる?計算方法や節税対策を解説します

マンションは現物でもらう方が、贈与税は安くなります。

「金銭」であれば、その金額に対する贈与税が発生しますが、「現物」は建物と土地の評価に対して計算されます。

マンションによりますが、相場価格の約50%~70%の評価になりますので、贈与税の税金対策として有効的な手段の一つです。

もし親族間で贈与を検討している場合、贈与税の仕組みや特例制度を上手に活用できると節税効果を得られます。

ここではマンションにかかる贈与税が節税対策になる理由、贈与税の計算方法、特例制度について説明していきたいと思います。


マンションにかかる贈与税とは?

父母や祖父母、配偶者などが所有するマンションをもらうと、もらった人に対して贈与税の納税義務が課せられます。

贈与税とは、個人が個人へ財産を移転させた時にかかる税金です。贈与税の対象となる「財産」とは、毎年1月1日から12月31日の期間にもらった財産を指します。

贈与税には、以下2種類の課税方法があります。

【贈与税の課税方法】

・暦年課税:受贈者が1年間に受けた贈与を基準に計算する方法。

・相続時精算課税:贈与者ごとに1年間に受けた贈与を基準に計算する方法。特別控除額2,500万円を超えると、超えた部分に一律20%の税金がかかります。

※受贈者:財産をもらった人 贈与者:財産をあげた人

暦年課税は、基礎控除110万円以内の贈与であれば確定申告が必要ありません。

一方、相続時精算課税を選択する場合、贈与税の確定申告など所定の手続きが必要です。確定申告の時期は、毎年2月16日から3月15日となっています。

暦年課税・相続時精算課税の計算方法については後ほど解説するので、詳細はそちらでご確認ください。

有償でも贈与とみなされる場合がある

「贈与=タダでもらうこと」というイメージを抱く人は多いですが、贈与税の課税対象となるのは、財産を無償でもらう場合のみではありません。

著しく低い価格で財産をもらった場合も贈与とみなされます。

たとえばマンションの価格は、一般的に安くても数百万円以上ですよね。

親族だからといって1万円など相場よりも著しく低い価格でもらった場合、贈与があったとみなされます。

この場合、課税対象となるのは通常の取引価額に相当する金額と、財産をもらった人が支払った対価の差額分です。

「著しく低い価額」かどうかの判断は個別の事案によって異なるため、不動産会社など相場を理解している専門家へ相談することをおすすめします。

マンションの贈与が節税対策になる理由

マンションの贈与は、贈与税の節税対策として有効的な手段の一つです。

贈与税は、もらった財産の価値を基準に税額を計算するため、対象の財産の価値が低いほど贈与税の負担が軽くなります。

財産の評価方法は対象によって考え方が異なります。たとえば、1,000万円の預貯金はそのまま1,000万円で評価され、1,000万円に対する贈与税額を計算する仕組みです。

一方、1,000万円で購入したマンションは、換金した場合にいくらになるかで評価する仕組み。一般的にマンションの評価額は相場よりも低くなるため、預貯金よりも贈与税の負担が軽くなります。

マンションの評価方法は、次の章で解説するのでそちらも参考にしていただければと思います。

贈与税の基準となるマンションの評価方法

マンションの評価額は、敷地と建物(専有部分)を分けて計算します。

ここで解説する、敷地と専有部分の評価額を合計した金額が、贈与税の基準となる金額です。

マンションの評価方法について、順番に解説しましょう。

マンションの敷地の評価方法

土地の全てが自分の資産である戸建てとは異なり、マンションの敷地に対する権利は、他の所有者と共有している状態です。

自分が所有するマンションの敷地の価値を計算するには、最初にマンション全体の敷地の価額を計算します。そして、その価額から自分が所有する分の価額を求めるといった流れです。

【マンションの敷地の評価方法】

敷地の評価額(マンション全体)=路線価※×マンションの敷地全体の面積

敷地の評価額(個人が所有する分)=敷地の評価額(マンション全体)×敷地権の割合※

※路線価:道路に面する宅地1m2あたりの価額

 敷地権の割合:自分が所有する権利の割合

路線価や敷地権の割合は、登記事項証明書にて確認可能です。登記事項証明書は、法務局へ交付申請すれば確認できるので、詳細は法務局公式サイトにてご確認ください。

マンションの建物(専有部分)の評価方法

マンション専有部分の評価額は、固定資産税評価額を用いて計算します。


【マンション専有部分の評価方法】

専有部分の評価額=固定資産税評価額×1.0

固定資産税評価額は、固定資産税を計算する際の基準になる価額のことです。

市町村から毎年送られてくる課税明細書で確認できるので、ご自宅の書類をご確認ください。

マンションにかかる贈与税の計算方法

マンションの評価方法を確認できたら、贈与税の計算方法についてもチェックしておきましょう。

先に述べた通り、贈与税には「暦年課税」「相続時精算課税」という2つの課税方法があり、計算方法は以下の通りです。

【暦年課税の計算方法】

A(基礎控除後の課税価格)=マンションの評価額-基礎控除110万円

贈与税=A×税率-控除額

暦年課税の場合、贈与者と受贈者の関係性によって財産が区分されており、異なる税率を用います。

・父母・祖父母から子・孫への贈与:特例贈与財産

・特例贈与財産以外の贈与:一般贈与財産

【相続時精算課税の計算方法】

贈与税=(マンションの評価額-特別控除・限度額2,500万円)×一律20%

計算式のみでは少々わかりにくいため、ここでは、3,000万円の贈与を受けた場合の贈与税額の計算方法を順番に解説します。

計算結果のみを確認したい場合は、以下の表をご確認ください。

 

【3,000万円の贈与にかかる贈与税額】

課税方法 贈与税額
暦年課税 特例贈与財産 1,035.5万円
一般贈与財産 1,195万円
相続時精算課税 100万円


贈与税額のみで考えると相続時精算課税が有利。ただし…

計算結果からわかる通り、贈与税額のみで考えると「相続時精算課税」による贈与が最も節税効果があります。

ただし、相続時精算課税によってもらった財産は、相続時に他の相続財産と合算される仕組みです。

その他の財産の状況によっては節税にならない場合があるため、注意が必要です。

また、相続時精算課税制度は贈与者ごとに選択できます。たとえば、祖父からの贈与は相続時精算課税、祖母からの贈与は暦年課税など分けて選択できます。

ただし、相続時精算課税を選択すると、選択した贈与者からの贈与は暦年課税に変更できません。

先の例でいうと、すでに相続時精算課税を選択した祖父からの贈与は、暦年課税へ変更できない仕組みです。

マンションの贈与をどちらの課税方法にするべきか迷う人は、不動産会社や税理士等の専門家へ相談し、選択の判断は慎重に行いましょう。

特例贈与財産の計算方法(父母・祖父母から子・孫への贈与)

60歳以上の父母・祖父母から18歳以上※の子・孫への贈与は、特例贈与財産に該当するため税率が優遇されています。

マンションの評価額3,000万円の贈与を受けた場合の贈与税は、1,035.5万円です。

※令和4年3月31日以前の贈与は20歳以上


【贈与税の計算方法(特例贈与財産)】

2,890万円=マンションの評価額3,000万円-基礎控除110万円

贈与税1,035.5万円=2,890万円×税率45%-控除額265万円

特例贈与財産に該当する場合の贈与税の税率と控除額は、以下の表をご確認ください。

 

【特例税率・控除額】

課税価格※ 税率 控除額
200万円以下 10% 控除額なし
400万円以下 15% 10万円
600万円以下 20% 30万円
1,000万円以下 30% 90万円
1,500万円以下 40% 190万円
3,000万円以下 45% 265万円
4,500万円以下 50% 415万円
4,500万円超 55% 640万円

 

※課税価格とは、基礎控除110万円を控除した後の金額です

参考元:国税庁 贈与税の計算と税率(暦年課税)

 

一般贈与財産の計算方法(特例贈与財産以外の贈与)

特例贈与財産に該当しない場合の贈与は、一般贈与財産の税率で計算します。マンションの評価額3,000万円の贈与を受けた場合の贈与税は、1,195万円です。

 

【贈与税の計算方法(一般贈与財産)】

2,890万円=マンションの評価額3,000万円-基礎控除110万円

贈与税1,195万円=2,890万円×税率50%-控除額250万円

一般贈与財産に該当する場合の贈与税の税率と控除額は、以下の表をご確認ください。

 

【一般税率】

課税価格※ 税率 控除額
200万円以下 10% 控除なし
300万円以下 15% 10万円
400万円以下 20% 25万円
600万円以下 30% 65万円
1,000万円以下 40% 125万円
1,500万円以下 45% 175万円
3,000万円以下 50% 250万円
3,000万円超 55% 400万円

 

※課税価格とは、基礎控除110万円を控除した後の金額です

参考元:国税庁 贈与税の計算と税率(暦年課税)

 

相続時精算課税の計算方法

相続時精算課税を選択する場合、暦年課税による贈与とは分けて計算します。

マンションの評価額3,000万円の贈与を受けた場合、贈与税額は100万円です。

 

【相続時精算課税の場合の計算方法】

贈与税100万円=(マンションの評価額3,000万円-特別控除額2,500万円)×一律20%

相続時精算課税による計算では、暦年課税の基礎控除額110万円の代わりに特別控除額2,500万円を用います。

特別控除額2,500万円は累計なので、1年間で控除しきれない場合、残りを翌年以降に繰り越し可能です。

上記の例では、課税対象が500万円となるため500万円に対して20%の贈与税がかかります。

相続時精算課税によってもらった財産は、相続時に相続財産として他の財産と合計します。相続税の納税義務が生じた場合、すでに納めた贈与税が相続税に充当される仕組みです。

マンションの贈与で利用できる特例制度

贈与税には重い税負担がある一方、複数の特例制度が設けられています。

マンションの贈与では、夫婦間や父母・祖父母から子・孫への贈与の場合、以下の制度を利用できる可能性があります。

【マンションの贈与で利用できる特例制度】

・夫婦間での居住用不動産に関する特例制度

・父母・祖父母から子・孫への住宅等資金の非課税制度

各制度については以下の記事で解説しているので、興味がある人はこちらもご覧ください。



マンションの生前贈与は相続との比較も忘れずに!

ここでは、マンションにかかる贈与税の計算方法について解説しました。

マンションの贈与は、預貯金による贈与よりも節税効果があり、相続時精算課税や特例制度を利用するとさらに節税できる可能性があります。

ただし、相続時精算課税は納税時期を相続時に先延ばしにする仕組み。その他の特例制度を利用する場合も、それぞれに条件があります。

生前贈与するべきか、相続まで待つべきか、どちらが高い節税効果を得られるかは個別の事情によって異なります。

どれくらいの税金がかかるのか確認した上で、判断しましょう。

大吉不動産株式会社では、不動産の贈与・相続に関する個別相談をいつでもお待ちしておりますので、お気軽にお問い合わせください。

マンションの贈与を検討している方には、こちらの記事もおすすめです。

 

この記事を書いた人

代表 山本

大吉不動産株式会社 代表取締役 2005年より不動産業に携わり、自らも区分のワンルームマンション投資や一棟アパート投資を実践している。 多くの不動産投資成功者を見る一方、初心者の失敗相談も多く受ける中、失敗する方を減らすため情報を提供しつつ、これから不動産投資を始める初心者の方を中心に不動産投資のいろはをお伝えしております。

記事一覧

成功に導くためのお役立ち知識

不動産売却の基礎知識の
記事一覧はこちら
お問合せは
こちら
Page top